参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (73 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html |
出典情報 | がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
高齢者および認知症患者では、痛みに対する反応が弱くなる傾向にあり、痛みの強さを適切に表
現することが難しく自己報告だけでなく表情や態度などから客観的にとらえることが推奨される 2)
3)。客観的な評価尺度として、海外で開発された痛みの行動観察尺度の中で日本語版の妥当性が証明
されているものは、Abbey 尺度 6)と DOLOPLUS-2 尺度 7)がある。持続痛をもつ高齢者は、神経障
害性疼痛や混合性疼痛では、しびれや違和感として自覚した場合に適切に表現できず、またうつ状
態と密接な関係があることが知られており、行動様式だけでなく神経精神症状の反応と合わせて評
価することが提言されている 3)8)。
鈴木ら
9)によると、介護施設に入所している認知症高齢者の有痛率は
25%で、日本語版 Abbey 尺
度による有症率は 25.95%で、これにより評価された痛みは焦燥・不安・抑うつを悪化させていた可
能性が示唆された.認知高齢者の痛みは BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of
Dementia;認知症の行動・心理症状/周辺症状)に影響を与えていることが考えられ、言語、表情、
身体の動き、精神症状の変化からアセスメントする必要性がある 9)10)。
文献
1)
日本緩和医療学会. がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014 年版. 東京:金原出版;
2014. 41
2)
D’Arcy Y. 高齢者の痛みのケア. 初版. 名古屋:名古屋大学出版会; 2003.13-17
3)
AGS Panel on Persistent Pain in Older Persons. The management of persistent pain in
older persons. J Am Geriatrics Spcoety. 2002;50:205-224
4)
西脇公俊, 他. 高齢者がん性疼痛治療上の特徴:全国ホスピス・緩和ケア病棟へのアンケート
調査から.日本ペインクリニック学会誌. 2000;7:36-42
5)
村田峻輔, 他. 腰部・下肢に慢性痛を有する地域在住高齢者における歩行速度と痛みの心理面,
主観的強度,痛みの期間,痛みの部位数との関連.日本運動器疼痛学会誌.2015;7:54-62
6)
Takai Y et al. Abbey Pain Scale: development and validation of the Japanese version.
Geriatr Gerontol Int. 2010;10:145-153
7)
Ando C et al. Effectiveness of the Japanese DOLOPLUS-2: a pain assessment scale for
patients with moderate-to-severe dementia. Psychogeriat. 2016;16:315-322
8)
太田孝一. 高齢者・認知症患者における持続痛評価法の進歩. 日本ペインクリニック学会;
2017.24:95-99
9)
鈴木みずえ, 他.認知症高齢者における疼痛の有病率と疼痛が認知症の行動・心理症状
(BPSD)に及ぼす影響.老年看護学.2014;19:25-33
10) 安藤千晶. コミュニケーション障害をもつ高齢者の痛み行動観察尺度:日本語版
DOLPLUS-2 の紹介.Palliative Care Research. 2016;11:910-915
65