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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (130 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q2

高齢者において注意が必要な輸血副反応は何か?

A2

輸血関連循環過負荷(TACO)である。

【 解説 】
アナフィラキシー、輸血関連急性肺障害(TRALI)、感染症等はすべての受血者に同程度に発生し得
るが、輸血関連循環過負荷(TACO)は、70 歳以上の高齢者であることが発症リスクの一つとされて
いる 1)。
高血圧を基礎疾患とした高齢者では、左室が心肥大あるいは繊維化により硬化し、左室収縮能は
比較的保たれていても、血液が十分左室に充満できない左室拡張能障害を来すことが最近注目され
ている

2)。そのような患者においては通常の輸血療法でも相対的に循環過負荷となり得る可能性が

あるためと考えられる 3)。なお他の TACO のリスクとしては心機能障害、腎機能障害、輸血前から
の循環過負荷、低アルブミン血症、低体重が報告されている 4)。
上記リスク保有患者においての輸血時には輸血速度が1ml/kg/hr を超えないようにするべきとされ
ている

5)。また輸血中から輸血後にかけての患者観察に努め、呼吸困難出現時には輸血を中止して

輸液に切り替え、アナフィラキシー、不適合輸血、TRALI を鑑別し、循環負荷の所見が認められれ
ば、利尿剤の使用を考慮する。

文献
1)

Fung MK et al. Technical Manual.18th edition : American Association of Blood
Banks.2014;682-683

2)

大西勝也. TACO の危険因子 ―左室駆出率が保たれている心不全(拡張性心不全)―.
医学の歩み. 2015;253:649-653

3) 田崎哲典、他. TRALI, TACO 鑑別診断のためのガイドライン.
日本輸血細胞治療学会誌. 2015;61:474-479
4) 日本赤十字社 医薬品情報ウェブサイト.輸血情報 1707-155
http://www.jrc.or.jp/mr/relate/info/pdf/yuketsuj_1707-155.pdf
5) 岡崎仁. TRALI・TACO の鑑別診断と予防対策.医学の歩み. 2015;253:654-658

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