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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (195 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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(3)

高齢者がん患者の終の棲家

Q1

どのような選択肢があるのか?

A1

いろんな選択肢がある。患者・家族の希望と患者をとりまく社会・医療資源を検討し、
患者・家族により決定される。

【 解説 】
国民の多くは「最期を迎えたい場所」について「自宅」を希望している(平成 29 年度高齢者の健
康に関する意識調査 内閣府)。一方で、人口動態統計による「死亡場所別に見た、死亡数・構成割
合の推移」をみると、1951 年に自宅で死亡する人の割合と病院で死亡する人の割合はそれぞれ
82.5%と 9.1%であったものが、1970 年代に逆転し、2014 年では 12.8%と 75.2%となっている。
近年自宅での死亡の割合が横ばいか増加傾向にある地域がみられ、在宅医療の提供体制や医療と介
護に関わる多職種の連携の推進モデルの普及が求められている。
人生の最終段階における医療に関する意識調査(平成 29 年 終末期医療に関する意識調査等検討
会)では、終末期に起こりうるさまざまな状況(末期がん・心臓病・認知症・交通事故などの病態に
おける感染症治療、栄養摂取形態、人工呼吸管理、蘇生措置など)において希望する治療方針につい
ての意向を一般の国民、医療従事者から収集している。
全体としては、終末期における積極的な医療を望まないとする回答が多かったが、医療福祉従事者
と比べ、一般国民では積極的な治療を望むとする回答が多く見られた。希望する療養場所について
は、一般国民では医療福祉従事者と比べ、「病院」を望む回答が多かった。一方で、過去の調査と比
較すると、「自宅」や「介護施設」を選択する回答の割合が増加している。
受療動向調査(平成 29 年 厚生労働省)では、入院患者の退院の許可が出た場合の自宅療養の見
通しについて、「自宅で療養できる」という回答が 57.2%、「自宅で療養できない」とする回答が
21.7%であった。自宅療養を可能にする条件では、「入浴や食事などの介護が受けられるサービス」
「家族の協力」「療養に必要な用具(車いすやベッド)」「緊急時の病院や診療所への連絡体制」
「医師・看護師などの定期的な訪問」「療養のための指導(服薬・リハビリ指導など)」「通院手段
の確保」「療養のための改築(手すりの設置など)」の課題が挙げられていた。医療・介護・福祉な
どさまざまな視点での支援体制が求められている。
こうした現状を踏まえ、厚生労働省は平成 29 年に「在宅医療の体制構築に係る指針」を発出し、在
宅医療の体制について、都道府県が作成する医療計画に地域の実情を踏まえた課題や施策などを記載
し、市町村や関係団体と一体となった取り組みの重要性を強調している。
在宅医療の提供体制に求められる医療機能として、①退院支援(入院医療機関と在宅医療に関わ
る機関との協働による退院支援)、②日常の療養支援(多職種協働による患者・家族の生活を支える
観点からの医療の提供、緩和ケアの提供、家族への支援)、③急変時の対応(在宅療養者の病状の急
変時における往診や訪問看護の体制および入院病床の確保)、④看取り(住み慣れた自宅や介護施
設など、患者が望む場所での看取りの実施)が示されている。こうした機能を確保するために、積極
的役割を担う医療機関(在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院など)の体制構築とともに、在宅医
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