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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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「高齢者がん医療 Q&A」の序にかえて
~高齢者のがん診療の基本的な考え方~
高齢者がん医療 Q&A 編集委員長 田村 和夫

1.はじめに
昨今高齢者のがんについての報道が世間をにぎわしているが、2025 年には団塊世代が 75 歳をむ
かえ、後期高齢者が急速に増加する。すでにがんの平均発症年齢は 60 歳を超え、がん死の 85%が
65 歳以上となっている。すなわち、2025 年を待たず、がんはすでに高齢者の慢性疾患であり、そ
の治療・ケアに医療界ばかりでなく、社会の取り組みに待ったはない。第 3 期の「がん対策推進基
本計画」
(2018 年 3 月 9 日閣議決定)のなかで、ライフステージにおけるがん医療において、小児・
AYA 世代とともに高齢者のがんが取り上げられ、action plan が立てられ具体的な施策が実施されて
いくことが期待される。
一方で、老年腫瘍学(geriatric oncology, GO)を研究・教育・臨床において正面から取り組んで
いる医療者・研究者は限定的である。現在、日本がんサポーティブケア学会(JASCC)は「高齢者
のがん治療部会」が設置され高齢がん患者の治療について活動をしている。また、日本臨床腫瘍学
会が中心になって「高齢患者のがん薬物療法ガイドライン」を 2019 年 7 月に発刊している。ただ、
その他のがん関連学会において、高齢者を対象とした常設の委員会等を作って活動しているところ
はなく、また診療指針を策定する動きはない。
この度、厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)
「高齢者がん診療指針策定に必
要な基盤整備に関する研究」班と JASCC が協働で、臓器横断的、多職種でチームを作り、担がん
高齢患者の治療・ケアにあたり現時点のエビデンスを集積・解析し、Q&A の形で整理して解説を加
え、研究・教育・診療に役立つような情報を提供することにした。これは、ガイドライン作成の基
礎となる provisional statement としての位置づけであるが、エビデンスの少ない本領域において、
日常診療の一助となるばかりでなく、臨床上の問題点があきらかになることにより研究の方向性が
示され、研究を通して人材育成に寄与することが期待される。
最後に、本 Q&A の執筆、査読をいただいた諸先生、編集委員、JASCC 事務局の関係各位に深謝
する。特に慣れない編集作業に時間を惜しまず従事いただいた編集事務局の伊藤敬美、下田薫、熊
川悦子、生駒規子、安部元子女史に感謝したい。

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