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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (48 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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第3章

支持・緩和医療

1. 栄養と悪液質
Q1

高齢者への栄養管理や指導で特に注意が必要なことは何か?

A1

複合的な病態を考慮し、早期から個別の栄養サポートを立案する。

【 解説 】
担がん高齢者の低栄養は、以下の 1~4 のように、加齢による生理変化、がん特有の病態、がん治
療による有害事象、合併症といった複数の要因により生じる。がん種、病期、臨床経過を十分に考慮
して主病態を鑑別し、可逆的な病態を中心に、個別の治療計画を立案することが重要である。
1. 高齢者は元来、加齢に伴う以下の生理学的な低栄養リスクが存在する 1)。
(1)消化液の分泌能の低下(唾液、胃酸、胆汁)
(2)消化管クリアランスの低下(食道、胃)
(3)栄養素の吸収効率の低下(炭水化物、脂質、アミノ酸)
2. 加齢とともに罹患率の増加する以下の合併症が低栄養リスクとなる 2)3)。
(1)脳血管障害などの神経筋疾患による、嚥下・咀嚼機能の低下
(2)耐糖能異常とインスリン抵抗性
(3)慢性肝障害に伴う肝合成能の低下
(4)慢性炎症性疾患(COPD、心疾患、腎疾患など)に伴う悪液質
3. 高齢者ががんに罹患した場合、以下のがん特有の病態により低栄養リスクが助長される。但し、
がん種や病期によりリスクの程度はさまざまである 3)4)5)。
(1)がんによる消化器系の器質的異常(消化管閉塞、吸収障害、臓器機能障害など)
(2)がんによる体腔液貯留に伴う栄養素の喪失(胸水、腹水など)
(3)がん悪液質に伴う摂食量減少と代謝異常(負のエネルギー及び窒素バランス)
(4)がんに伴う難治性感染症(閉塞性肺炎、胆管炎、軟部組織感染症、血流感染症)
4. がん治療に関連した医療行為は以下の低栄養リスクを生じる 3)4)5)。特に薬物治療による有害事
象の頻度は高齢者で多く、重症度も高い 6)。
(1)手術治療(周術期の侵襲、創傷に伴う炎症・体液喪失、消化管切除)
(2)放射線治療(口腔粘膜炎、食道炎・腸炎、唾液分泌低下、宿酔)
(3)化学療法(悪心・嘔吐、味覚/嗅覚障害、口腔粘膜炎、下痢、便秘)
(4)その他(入院による安静、ステロイド、NSAID、オピオイドの使用、GVHD)
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