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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (92 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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8-5.うつ病
高齢者はうつ病の有病率が高く、高齢がん患者集団では50%にのぼるかもしれない。うつ病はリ
ハビリテーション治療への有効な参加への動機づけに影響を与えうるため、その発見と治療が重要
である。うつ病のスクリーニングには、「悲しいと感じたり、気分が落ち込むことがよくあるか?」
の質問や高齢者用うつ尺度(Geriatric Depression Scale)が使用される52)53)。
8-6.低栄養・摂食嚥下障害
低栄養状態の原因としては、原病であるがん、食欲不振、認知症、摂食嚥下障害、義歯不適合、味
覚障害、うつ病、疼痛などが挙げられる54)。低栄養状態は外科手術や手術からの回復に悪影響を与
えるだけでなく、治療全般に影響する。低栄養状態のスクリーニングとしては、栄養状態評価(Mini
Nutritional Assessment)が使用される55)。
義歯不適合や口腔粘膜炎による疼痛など治療可能な問題については積極的に治療すべきである。
食欲不振や適切なカロリー量の設定については栄養サポートチームによる支援を受ける。機能的・
器質的な摂食嚥下障害については、リハビリテーション科医やリハビリテーション専門職が診断と
治療を担うことができる。ビデオ嚥下造影(VF)やビデオ内視鏡(VE)で精査を行い、治療として、
間接・直接嚥下訓練や代償手段(食事の姿勢、食形態、食事のペースや1回量)の活用を行う。
9.まとめ
高齢がん患者では、潜在的に「フレイル」のリスクがあり、身体機能やADLが低下しやすく、さら
には、独居で社会的に孤立している場合や高齢の配偶者との二人暮らしなど社会的問題が内在して
いる場合も多いので、がん診療に関わる専門職は患者ごとの問題をリストアップし、原病のがんの
状態だけでなく、併存疾患や身体機能および精神心理的、社会的・環境的状況も考慮に入れ、協働し
て取り組む必要がある。

文献
1)

内閣府. 第1章 高齢化の状況, 平成29年度版高齢者白書(全体版)
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_2_3.html
(2018 年 10 月 10 日引用)

2)

Goodwin J et al. Short functional dependence scale: development and pilot test in older
adults with cancer. Cancer Nurs. 2006;29:73–81

3)

Flood K et al. Geriatric syndromes in elderly patients admitted to an oncology-acute care
for elders unit. J Clin Oncol. 2006;24:2298–2303

4)

Penedo F et al. Physical activity intervention in the elderly: cancer and

comorbidity.

Cancer Invest. 2004;22:51–67
5)

辻哲也. がんに対するリハビリテーション医療の意義. 日本リハビリテーション医学会(監修).
リハビリテーション医学・医療コアテキスト. 医学書院; 2018. 248-251
84