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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (91 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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8-2.認知症
Floodらは老年腫瘍科に入院した人の27%に記銘力障害があることを報告しており48)、なんらか
の認知機能の低下を有する高齢者は多い。認知機能の低下は、治療全般やリハビリテーション治療
の目標にも影響するので、適切なアセスメントとアプローチを要する。全般的精神知的機能のスク
リーニング検査としては、ミニメンタルステート検査(MMSE)や改訂長谷川式簡易知能評価スケ
ール(HDS-R)が用いられる。
8-3.せん妄
高齢患者はせん妄になりやすく、入院がん患者の14~55%、高齢がん患者の38%にせん妄が存在
するという報告がある49)。せん妄はリハビリテーション治療の大きな阻害要因となるので適切なア
セスメントとアプローチを要する。せん妄のアセスメントには、Confusion Assessment Method
(CAM)が用いられる50)。錯乱状態になる可能性を少なくするためには、視覚や聴覚からの感覚入
力を損なわないように眼鏡や補聴器を積極的に使用し、患者が時間の感覚や昼夜のリズムを取り戻
すために日の光の入る窓付きの部屋で過ごし、時計やカレンダーを設置する(リアリティオリエン
テーション)ことや、リハビリテーション治療や家族の面会などの定期的な日課が有用である。
8-4.疼痛管理
疼痛は多くのがん患者が訴える症状で、リハビリテーション治療の大きな阻害要因となるため、
高齢がん患者においても、積極的に治療する必要がある。認知症が進んだ患者の場合、表情、防御姿
勢、身体の硬直、食事の拒否、錯乱などの行動上のサインが、患者の疼痛の特徴を知る手がかりにな
る51)。
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