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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (209 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q4

高齢者はなぜがん検診を受診しようとするのか?

A4

高齢者は、健康寿命をかなり長く見込んでおり、習慣化された検診受診を継続すること
がよいことと考えている。検診の利益を過大評価し、不利益が自分に起こりえるという
認識が不足している。

【 解説 】
日本よりも高齢者のがん検診受診率の高さが問題となっている米国では、高齢者に対する様々な
インタビュー調査が行われている。
「定期的ながん検診の受診の中止を考えたか?」という調査 1)に
よると、50~69 歳の 10.2%に比べて、70 歳代以上でも 8.2%と大差なく、受診の是非に対する説明
がなかったことが理由として挙げられている。一方高齢者向け診療所の平均 76(63~91)歳の患者
に対して行った質的研究では、多くが検診受診を習慣と位置付けており中止するには大きな決断が
「自分
必要と感じている 2)。また、余命が短いと検診の効果を享受できないという問いに対しては、
の余命はかかりつけ医しか知りえないので、かかりつけ医からきちんと説明してほしい」と答えて
いた。
我々が国内で行った平均 81(75~87)歳の高齢のがん検診受診者への調査でもほぼ同様の結果で
あり、80 歳を超えても余命に対する過剰な自信があり、検診で異常がないというお墨付きを得るこ
とが不安解消につながると感じていた。偶発症や偽陰性などの検診による不利益は認識していたが、
自分にも起こりうるという認識は全くなかった。すなわち限りある人生を健康に過ごしたいという
思いが高齢者には強く、そのための習慣の一つとして検診が位置づけられているようである。
以上から、高齢者に検診を控えることに対する理解を得ることは困難である可能性が高い。さら
に検診の不利益に関する理解が進んでいないことから、がん検診に関する情報開示をさらに実施す
るとともに、検診対象となっている中高年からの教育が必要である。

文献
1)

Lewis CL et al. Plans to stop cancer screening tests among adults who recently considered
screening. J Gen Intern Med. 2010;25:859-864

2)

AM Torke et al. Older adults and forgoing cancer screening: I think it would be strange.
JAMA Intern Med. 2013;173:526-531

201