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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (80 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q2

がん治療を受けている高齢者に医療用漢方製剤を安全に処方するための留意点は何か?

A2

多薬に伴う重複とまれな有害事象の発現を念頭に漢方製剤を使用する。

【 解説 】
高齢者では複数の診療科から多くの薬剤が処方されていることが多く、多薬(ポリファーマシー)が問題に
なる。このような状況に漢方製剤をさらに追加処方すると、思わぬ相互作用(マオウ含有製剤と甲状腺製剤
やテオフィリン製剤の併用による不眠・発汗異常・動悸など)1)が発現することがある。また複数の漢方製剤を
併用すると、構成生薬が重複し、たとえば甘草の量が増えると、偽アルドステロン症が発生することがある
2)。以上のような事態を予防するためにも、服薬状況を詳しく確認すべきである。それには担当医だけでなく

薬剤師・看護師の関与が必須である。
漢方製剤による間質性肺炎 3)はきわめてまれであるが、注意すべき副作用である。とくに生薬であるオウ
ゴンを含む処方(主として柴胡剤)をした場合は、空咳・発熱・労作時息切れなどの症状の有無を問診すべ
きである。またオウゴンを含む処方では肝機能障害 4)も報告されており、血液・生化学的検査のフォローが
重要である。
サンシシを含む漢方製剤(黄連解毒湯・加味逍遥散・加味帰脾湯など)を 5 年以上の長期にわたって服
用した患者の中に、腸間膜静脈硬化症を発症する場合がある 5)。本疾患は腸間膜静脈の線維性肥厚や石
灰化による虚血性腸炎のような病態である。これらの処方の漫然とした長期投与を避けるとともに、原因不明
の腹痛や便通異常の際には本病態を想起する必要がある。
文献
1) Motoo Y et al. Regulation of ephedra in the United States. Am J Chin Med. 2003; 31: 10031004
2) Arai I et al. Estimated incidence of adverse drug reactions to Kampo medicines in
randomized controlled clinical trials. Trad Kampo Med. 2018; 5: 106-112
3) Enomoto Y et al. Japanese herbal medicine-induced pneumonitis: a review of 73 patients.
Respir Investig. 2017; 55: 138-144
4) Mantani N et al. Incidence and clinical features of liver injury related to Kampo (Japanese
herbal) medicine in 2,496 cases between 1979 and 1999: problems of the lymphocyte
transformation test as a diagnostic method. Phytomedicine. 2002; 9: 280-287
5) Shimizu S et al. Involvement of herbal medicine as a cause of mesenteric phlebosclerosis:
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