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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (155 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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2.

内視鏡治療

Q1

内視鏡治療に年齢制限はあるか?

A1

原則として年齢制限をしない事を弱く推奨する。高齢者に対して内視鏡治療を行う場合
は、病変側因子のみならず、治療に対する侵襲や期待余命といった患者側因子の観点か
らもその適応を考慮する必要がある。

【 解説 】
厚生労働省の平成 29 年簡易生命表によると、わが国の平均寿命は男性 81.09 歳、女性 87.26 歳で
ある。また高齢者の平均余命は、表 1 のように示されている。高齢者の平均余命は一般的には非高
齢者と比較すると短いが、算出された余命はあくまでも平均であり、各々の患者の余命は全身状態
や併存疾患、生活習慣などの背景の多様性によりかなりの差異がある。このため高齢者患者の単純
な予後予測は困難であるが、日常診療で各々の患者の栄養状態や生活の自立度、併存疾患などから
患者側因子を客観的に評価する指標として,高齢者総合機能評価(CGA:表 2)、Charlson
Comorbidity Index(CCI:表 3)、予後栄養指数(PNI)が用いられている。
高齢者総合機能評価(CGA)は近年老年医学の領域で検討されてきており、高齢者の様々な機能
を数値化する事で客観的に評価し、一般診療で治療の適応、方法、推奨度を決定するツールとして
検証されている。癌診療においても、CGA の有用性が検討されており、国際老年腫瘍学会でも CGA
の使用が推奨されている 1)。高齢者の消化器癌に対する内視鏡診療においてもその有用性が期待さ
れるが、項目が多岐にわたるため、すべての項目を網羅的に評価する事は煩雑であること、内視鏡
治療の適応となる早期癌や良性疾患では,重視する項目が化学療法や緩和医療とは異なることが、
今後検討すべき課題と思われる。
Charlson Comorbidity Index(CCI)は、1987 年に Charlson らによって発表された、慢性疾患に
関連する 19 の項目についてスコア化し、併存疾患を客観的に評価した予後予測モデルである 2)。
スコア 1 として心筋梗塞、うっ血性心不全、慢性肺疾患、潰瘍性疾患、末梢血管疾患、軽度肝疾患、
脳血管疾患、膠原病、合併症のない糖尿病、認知症、スコア 2 として片麻痺、中等度~重度腎疾患、
臓器障害を伴う糖尿病、固形癌、白血病、リンパ腫、スコア 3 として中等度~重症の肝疾患、スコ
ア 6 として転移性固形癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)が挙げられ、これらの点数を合計したも
のである。このスコアリングモデルでは合計スコアの増加に伴い、10 年全生存率が低下する事が示
されている。高齢者の内視鏡治療後の長期予後の検討は本邦においてもなされており、CCI が予後
予測指標として有用である事が報告されている 3)4)。
予後栄養指数(PNI)は Onodera ら 5)によって提唱された予後栄養指数であり、種々の固形癌の
臨床研究において予後予測因子として用いられている。 採血により簡便に計算でき、治療前の血清
アルブミン値(Alb)と総リンパ球数(TLC)を用いて、PNI= (10×Alb)+(0.005×TLC) の計算式で
算出される。従来は外科手術の領域で提唱されていたが、内視鏡治療においても Sekiguchi ら 6)は、

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