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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (60 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q2

高齢者は、非高齢者と比べて、化学療法誘発悪心・嘔吐のリスクは高いか?

A2

65 歳以上の高齢者は、65 歳未満の非高齢者よりも化学療法誘発悪心・嘔吐のリスクは低
い。

【 解説 】
化学療法誘発性悪心・嘔吐の主な患者関連リスク因子は、年齢、性別、飲酒習慣、妊娠悪阻の経
験、乗り物酔いの経験、不安である。
年齢については、高齢であることは化学療法誘発悪心・嘔吐のリスクが低く 1)2)3)、特に 65 歳以
上(固形がんにおける定義上の高齢者)は、化学療法誘発性悪心・嘔吐のリスクが低い 1)4)。
日本全国で行われた化学療法誘発悪心・嘔吐の前向き観察研究の多変量解析では、高齢者は若年者
と比べ、急性期の悪心、急性期の嘔吐、遅発期の悪心において有意にオッズ比が小さかった

3)。ま

た、そのリスク因子を検証した研究の多変量解析では、年齢の上昇とともにオッズが低下すること
が示されている 5)。
しかし、高齢者では抗がん薬の用量が減量されることが多く、このことが催吐性リスクが低く評価
される一因になっている可能性も指摘されている

6)。したがって、高齢者の化学療法に対する制吐

療法において、悪心・嘔吐のリスクが低いからといって制吐対策の治療強度を弱めて良いというこ
とにはならない。特に初回化学療法においてはガイドラインで推奨されている標準制吐療法を遵守
し、患者観察を怠らない配慮が必要である。

文献
1)

Tonato M et al. Methodology of antiemetic trials: a review. Ann Oncol. 1991;2:107–114

2)

Sekine I et al. Risk factors of chemotherapy-induced nausea and vomiting: index for
personalized antiemetic prophylaxis. Cancer Sci. 2013;104:711-717

3)

Tamura K et al. Testing the effectiveness of antiemetic guidelines: results of a prospective
registry by the CINV Study Group of Japan. Int J Clin Oncol. 2015;20:855-865

4)

Hesketh PJ et al. Evaluation of risk factors predictive of nausea and vomiting with current
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patients receiving cisplatin-based chemotherapy. Support Care Cancer. 2010;18:1171–1177

5)

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chemotherapy-related nausea and vomiting. Support Care Cancer. 2013;21:2759–2767

6)

Jakobsen JN, Herrstedt J. Prevention of chemotherapy-induced nausea and vomiting in
elderly cancer patients. Crit Rev Oncol Hematol. 2009;71:214–221

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