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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (62 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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うべきである。さらにインフルエンザシーズンにおける、がん患者本人も含めた家族の帰宅後の石
鹸と流水による、またはアルコール製剤による手指衛生はウイルス汚染からがん患者の身を守るた
め極めて重要である。
肺炎球菌は莢膜を有するグラム陽性菌で、肺炎の原因菌として最も高頻度である。さらに血液や
髄液に侵入すると侵襲性肺炎球菌感染症となり、死亡率は 75 歳以上で 31.7%に及ぶとの報告もあ
る 4)。高齢者において肺炎球菌は非常にリスクの高い病原体でるため、ワクチン接種が推奨される。
現在我が国で接種可能なワクチンは、23 価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン (23-valent pneumococcal
polysaccharide vaccine: PPSV23; ニューモバックスⓇNP)と 13 価肺炎球菌結合型ワクチン (13valent pneumococcal conjugate vaccine: PCV13; プレベナー13Ⓡ)の 2 種類がある。
PPSV23 は日本の医療における研究で、高齢者における肺炎球菌性肺炎の発症予防、それによる
死亡率の低下および医療費の削減効果が示されており、
65 歳以上は定期接種の対象となっている 5)。
従来は小児のみに用いられていた PCV13 の接種により成人においても肺炎球菌性肺炎を有意に減
少させたとの報告もある 6)。日本呼吸器学会および日本感染症学会の合同委員会からは、65 歳以上
の高齢者のうち PPSV23 未接種者に対しては PCV13 を接種した後、6 か月以降に PPSV23 接種を
推奨している。PPSV23 既接種者に対しては PPSV23 接種後 1 年以上経過した後、PCV13 接種を
推奨している。これは一般高齢者を対象としたものであるが、当然がん患者に対する感染リスク軽
減のために、これらのワクチン接種を徹底することが望まれる。

文献
1)

日本臨床腫瘍学会. 発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン. 改訂第 2 版. 東京:南江堂;
2017.1-77

2)

Beck CR et al. Influenza vaccination for immunocompromised patients: summary of a
systematic review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses. 2013;7:72-75

3)

Earle CC. Influenza vaccination in elderly patients with advanced colorectal cancer. J Clin
Oncol. 2003;21:1161-1166

4)

Marrie TJ et al. Effect of age on the manifestations and outcomes of invasive pneumococcal
disease in adults. Am J Med. 2018;131:100.e1-100.e7

5)

Maruyama T et al. Efficacy of 23-valent pneumococcal vaccine in preventing pneumonia
and improving survival in nursing home residents: double blind randomised and placebo
controlled trial. BMJ. 2010;340:c1004

6)

Bonten MJ et al. Polysaccharide conjugate vaccine against pneumococcal pneumonia
in adults. N Engl J Med. 2015;372:1114-1125

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