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05.【資料2-2】標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)(案)2/2 (63 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31652.html
出典情報 標準的な健診・保健指導プログラム改訂に関するワーキンググループ(第2回 3/7)《厚生労働省》
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⑧ アルコールのリスクに着目した保健指導について
アルコールは、生活に豊かさと潤いを与えるものであるが、不適切な飲酒はア
ルコール健康障害bの原因となるばかりでなく、飲酒運転や暴力、虐待、自殺等
の様々な社会問題の発生に関連していることが指摘されている。これらのアル
コール健康障害やアルコール関連問題 cへの対策を総合的かつ計画的に推進する
ために、平成25年にアルコール健康障害対策基本法が制定され、アルコール健
康障害対策の実施に当たっては、アルコール関連問題に関する施策と連携する
こととされている。健康日本21(第二次)では、生活習慣病のリスクを高める
飲酒量を「純アルコール摂取量で男性40g/日以上、女性20g/日以上」と定
義した。これは、がん、高血圧、脳出血、脂質異常症等のリスクが1日平均飲酒
量と共にほぼ直線的に上昇すること、また、全死亡、脳梗塞及び虚血性心疾患に
ついてもおおむねこの飲酒量を超えるとリスクが上昇することによる d。したが
って、生活習慣病予防のアプローチとして減酒支援は重要である。また、純アル
コール1gは7kcalに相当し、体重コントロールの観点からも、減酒支援は食生
活・運動指導を補完する新たな切り口となり得る。さらに、保健指導は、アルコ
ール依存症患者が見出された場合に、専門医療機関での治療につなげる貴重な
機会となり得る。
以上のことから、健康診断や保健指導の機会において、アルコールのリスクに
着目した情報提供や保健指導を積極的に行うことが求められる。
保健指導実施者は、アルコールによる身体的・精神的及び社会的な影響に関す
る知識を持ち、対象者が抱える困難に共感しつつ、問題点を分かりやすく説明し、
行動変容へと結びつける姿勢が求められる。
具体的には、AST/ALT等の肝機能検査の結果から直ちに医療機関への受
診を要する状況でないことを確認した上で、標準的な質問票における飲酒量の
回答等から飲酒量を判断する。標準的な質問票で、1合をエタノール量22gと
換算し、1日の平均純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上に
該当する者には、「保健指導におけるアルコール使用障害スクリーニング(AU
DIT)とその評価結果に基づく減酒支援(ブリーフインターベンション)の手

b

c
d

アルコール健康障害:アルコール依存症そのほかの多量の飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲
酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害。
アルコール健康障害やこれに関連して生じる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題のこと。
たとえば、男性で週450g 以上の純アルコール(日本酒換算で1 日平均3 合程度)を摂取する

者の全脳血管性障害(脳出血+脳梗塞)の罹患率は、機会飲酒者の約1.6 倍に上昇する。
(Iso H et al. Alcohol consumption and risk of stroke among middle-aged men.
Stroke. 2004.)

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