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提案書05(0802頁~0998頁)医療技術評価・再評価提案書 (109 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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各種ガイドライン(日本神経学会、日本てんかん学会、日本小児神経学会)や厚労省法的脳死判定マニュアルで、正確な脳波診断の重要性が示さ
れている(参考文献1)。脳波専門医のいない医療機関において、本技術により速やかで正確な脳波診断が可能となれば、上記の喫緊の診断・治
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 療を要する場合に極めて有用であり、治癒率の向上、死亡率の低下、後遺症の軽減が期待できる。また、これまでは正確な脳波診断のために脳波
後等のアウトカム
専門医のいる施設を受診する必要があったが、本技術により受診が不要となる。さらに不正確な脳波診断による不適切な治療・検査とそれに伴う
合併症などの不要な医療費の削減に貢献する。

③再評価の根
拠・有効性

2022年に日本臨床神経生理学会より発刊された「臨床脳波の諸問題に関する情報共有と提
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 言(脳波セミナー・アドバンスコース小委員会レポート―)」において、本技術を利用し
た判読の必要性が増すことが予想され、積極的に検討すべき課題として取り上げられてい
る。)
る(参考文献2)。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

見直し前:厚生労働省NDBオープンデータによれば、2019年~2020年度の脳波検査判読料の年間請求件数は入院・外来を合わせ100~115万件であ
る。このうち85~100万件(86~88%)に脳波判読料2(180点、脳波専門医のいない施設)、15万件(12~14%)に脳波判読料1(350点、脳波専
門医のいる施設)が請求されている。脳波検査判断料1(350点、遠隔脳波診断を行った場合)の年間請求件数はわずか34~37件、0.003%にすぎな
い。なお、一人の患者が初回脳波検査後、治療効果・予後の判定などで脳波検査をフォローすることもあるため、年間平均3回の脳波検査を受け
るものと仮定する。以上より、見直し前の年間実施回数が36回、年間対象者数は36÷3=12人と推定した。
見直し後:診療報酬点数の増点により、遠隔脳波診断が普及すれば、年間100万件の脳波検査の3%が遠隔脳波診断により判読されると見込んだ。
すなわち、見直し後の年間実施回数が30,000回、年間対象者数が30,000÷3=10,000人と推定した。

見直し前の症例数(人)

12人

見直し後の症例数(人)

10,000人

見直し前の回数(回)

36回

見直し後の回数(回)

30,000回

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

医療用デジタルデータの遠隔転送とセキュリティーの技術はすでに確立されており、米国を筆頭に欧米諸国では、2010年代から各医療圏において
遠隔地域を含めて周辺領域の中堅クラスの病院で記録されたデジタル脳波データを記録直後から集め、中核病院の脳波専門医が遠隔判読し、判読
結果を速やかに提供する遠隔脳波診断システムが保険診療に組み込まれている(参考文献3)。我が国においても欧米諸国と同様、遠隔脳波判読
システムの確立・運用が技術的には可能であることが示されている(参考文献4)。一方、脳波判読には高度な知識と技術を要するために、現行
の保険診療上の運用基準において、専門医療機関の施設基準が、学会認定医が所属する施設もしくは学会認定施設と設定されている。技術の難易
度は、現在汎用されているWebカンファランスシステムあるいはクラウドサーバを用いた各種社会的サービス事業と同等であり、運用上は問題な
い。

現在、受信側の保険医療機関は脳波検査判断料1の届出を行った保険医療機関と定められている。施設の要件として、以下の基準が定められてい
る。
・小児科、神経内科、脳神経外科、精神科、神経科又は心療内科を標榜している保険医療機関であること。
施設の要件
・MRI装置を有していること。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 ・地域ごとに作成されたてんかんに関する地域連携診療計画に二次診療施設として登録し、かつ、地域医療従事者への研修を実施している、連携
制等)
の拠点となる医療機関であること。
・関係学会により教育研修施設として認定された施設であること。
・当該保険医療機関以外の施設に脳波診断を委託していないこと。
現在、受信側の保険医療機関は脳波検査判断料1の届出を行った保険医療機関と定められている。人的配置の要件として、以下の基準が定められ
人的配置の要件
ている。
(医師、看護師等の職種や人数、専門 ・脳波診断に係る診療の経験を5年以上有する常勤の医師が1名以上配置されていること。
性や経験年数等)
・脳波検査の経験を1年以上有する常勤の臨床検査技師が1名以上配置されていること。
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守し、安全な通信環境を確保していること。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

問題なし。脳波記録後の判読に資する技術であり、記録された電子データを遠隔地で診断するのみである。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし。

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前
見直し後

350点
1,000点

その根拠

初期導入費(クラウドサーバ設置、遠隔サーバ接続用プログラム導入、通信アダプタ開設、個人情報保護のためのソフト導入など)が約150万
円、年間維持費(サーバ利用料など)が約30万円かかるため、初年度は約180万円の費用が必要となる。これを現在の診療報酬点数350点/件で回
収しようとすると、初年度に年間515件(月43件)の判読を引き受けなければならない。各施設でこの数字を実現するのは厳しいが、診療報酬点
数が1000点/件に増額されれば、初年度に年間180件(月15件)の判読で回収できることになる。

区分



番号
技術名

235
脳波検査(過呼吸、光及び音刺激による負荷検査を含む。)の注2

具体的な内容

当該保険医療機関以外の医療機関で描写した脳波について診断を行った場合は、1回につき70点とする。
減(-)

プラスマイナス
予想影響額(円)

93,561,200円
(増)脳波検査判断料1(遠隔脳波診断を行った場合)の算定が増えることによる増額
見直しにより年間29,964回の増加を見込んでいるが、この群で見直し前には脳波判読料2(180点、脳波専門医のいない施設)を請求されていた
分が脳波検査判断料1(1,000点、遠隔脳波診断を行った場合)の請求となる。
見直し前:3,500円×36回=126,000円、1,800円×29,964回=53,935,200円
見直し後:10,000円×30,000回=300,000,000円
見直し後-見直し前=245,938,800円の増額

⑩予想影響額

その根拠

(減)正確な脳波診断による検査費・治療費・入院費の減額
検査費(脳波、頭部CT、頭部MRIなど) 見直し前:12人、見直し後:10,000人
10,000円×(10,000人-12人)=99,880,000円
治療費(薬剤など) 見直し前:4人、見直し後:3,000人
10,000円×(3,000人-4人)×5日=149,800,000円
入院費(入院期間の短縮) 見直し前:2人、見直し後:1,000人
30,000円×(1,000人-2人)×3日=89,820,000円
計339,500,000円の減額

備考



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