提案書05(0802頁~0998頁)医療技術評価・再評価提案書 (179 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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拠・有効性
蛋白尿の陽性者は陰性者と比較し、全死亡、心血管疾患(CVD)発症、腎機能低下のリスクが高いことが報告されている(Clin Exp Nephrol
2013:17:805-10)。蛋白尿の増加に伴い、前述の各種イベントのリスクが上昇することから量反応関係も認められている。メタボリック症候群
(MetS)を対象にした検討においても同様の結果が得られている(Atherosclerosis 2009:204:503-8,J Intern Med 2007:262:470-8)。一方、Mets
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 の存在は、慢性腎臓病(CKD)発症のリスクでははあるが、MetSの存在よりも蛋白尿の存在の方がイベントリスクにより強く関連する可能性が示
後等のアウトカム
唆されており、尿蛋白/クレアチニン比を定期的に測定する重要性が示されている(Nephrol Dial Transplant 2012:27:2275-83)。欧米ではCKD診
療における蛋白尿の評価にアルブミン尿(g/gCre)測定が行われているが、心血管イベントや死亡のリスクがアルブミン尿が多いほど高まること
が継続的に示されている(Lancet. 2013 Jul 27;382(9889):339-52.Lancet. 2013 Jul 27;382(9889):339-52.)
ガイドライン等での位置づけ
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠
年間対象者数の
変化
年間実施回数の
変化等
これまで腎臓内科医が通常診療で行ってきた尿蛋白/クレアチニン比の測定を、慢性腎臓病(CKD)診療を行うすべてのかかりつけ医においても積
極的に行うことができる体制が診療報酬上でできることは、CKD診療の普及に大きく貢献することが期待される。
このことは、CKD早期診断そして適切な治療を通じCKD重症化予防へと繋がり、その結果として透析導入になる患者を減らすだけではなく、心血管
イベント抑止にも将来つながることが予測される。
見直し前の症例数(人)
日本国内には慢性腎臓病(CKD) G3a患者数が944万人、G3bが130万人、G4が19万人いると推計されているが、未診断割合が各々95%、68%、17%い
ると考えられており、診断されている人数は105万人程度であり、見直し前の推定症例数と考えられる。なお、この未診断率の高さの一因とし
て、尿蛋白/クレアチニン比の測定等のCKD診断のために必須な検査が充分に普及していないことが一因になっている。
見直し後の症例数(人)
不詳(CKD症例数は1330万人と推計されており、対象症例の増加は今後のCKD診療の普及啓発の影響を受けるものと推察される)
見直し前の回数(回)
令和2年度第7回NDBオープンデータによれば、尿クレアチニンの算定回数は2,944,709回となっている。
見直し後の回数(回)
受診中のCKD患者に年4回行うとすると、約400万回。さらに、未診断から診断医繋がる人数x4回が加わると予想される。
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す CKD診療ガイド2012(日本腎臓学会編)、エビデンスに基づくCKDガイドライン2018(日本腎
る。)
臓学会編)、IgA腎症診療ガイドライン2020、ネフローゼ症候群診療ガイドライン2020
・学会等における位置づけ:日本腎臓学会ではCKD診療において尿蛋白/クレアチニン比の定期的な測定を「CKD診療ガイド2012(日本腎臓学会
編)」、「エビデンスに基づくCKDガイドライン2028(日本腎臓学会編)」において推奨しいる。
・平易(専門性は低い):尿蛋白/クレアチニン比の測定に専門性はなく、1日尿蛋白量を推定したいときに誰でも平易に測定できる。
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 慢性腎臓病(CKD)を診療するすべての医療機関(施設要件を定めない)
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 CKDを診療するすべての医師
性や経験年数等)
その他
「CKD診療ガイド2012(日本腎臓学会編)」、「エビデンスに基づくCKDガイドライン2028(日本腎臓学会編)」、「ネフローゼ症候群診療ガイドラ
(遵守すべきガイドライン等その他の イン2020」、「IgA腎症診療ガイドライン2020」
要件)
⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
非侵襲的検査であり、リスクはない
⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
透析患者の増加により、透析医療費はわが国の医療費の5%を占め、現在、糖尿病性腎症重症化予防を含めた慢性腎臓病対策による透析導入患者
を減少させることは極めて重要な課題となっている。しかし、腎臓内科医のところに慢性腎臓病(CKD)患者が紹介されてくる時にはすでに手遅
れなケースが多く、かかりつけ医の段階で早期にCKDを診断し早期に治療介入(生活食事指導を含む)を行うことが重要である。CKD患者早期診断
ためには、特にメタボリックシンドロームや高血圧を有する患者において、定期的な尿検査を行うことが重要であるが、尿定性検査だけでは、正
確な尿蛋白量の評価はできず早期診断ができない。あるいはCKD既診断例においては悪化しているのかどうかも判断できない。医学的情報価値の
ある尿蛋白量の把握のためには尿蛋白定量だけでなく尿クレアチニン(Cr)値を同時に測定し、尿蛋白/Cr比値(g/Cre)を得ることが必須である
が、診療報酬上のサポートがなく、当然やるべき継続的な尿蛋白/Cr比の測定が現在は腎臓専門施設以外では行われていない。また、かかりつけ
医へのCKD早期診断、診療普及啓発の取り組みの際にも、診療報酬上のメリットがない(デメリットを指摘されることが現場では多い)ことが、
障壁となっている。
⑧点数等見直し
の場合
見直し前
再診時、尿定性検査に加えて、尿蛋白や尿クレアチニン測定を行っても、尿糞便判定量が請求できるのみである
見直し後
再診時、腎疾患判定加算(尿蛋白/クレアチニン比を測定した場合)(案:22点程度)を年4回程度できる(それ以上の回数の場合には従来通り
尿・糞便等検査判断料に含める)ように提案したい。
その根拠
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)
区分
なし
区分をリストから選択
番号
技術名
なし
なし
具体的な内容
該当なし
減(-)
プラスマイナス
⑩予想影響額
予想影響額(円)
20,000,000,000
その根拠
かかりつけ医において定期的な尿蛋白/クレアチニン比を定期的に測定することで、慢性腎臓病(CKD)の早期診断、適切な重症度診断ができるよう
になり、適切な時期に腎臓専門医への紹介が可能となり、CKDから腎代替療法の導入数を劇的に減少することができると考える。「腎疾患対策検
討会報告書〜腎疾患対策のさらなる推進をめざして〜」(平成30年7月)において、2028年までに年間新規透析患者数(2021年40,511人)を
3,5000人以下に減少させるという目標数値を掲げているが、かかりつけ医での尿蛋白/クレアチニン比の定期的な測定を可能にすることでより早
期に目標を達成できると考える。(透析導入患者5,000人減)
備考
現在、慢性腎臓病(CKD)治療薬としてSGLT-2阻害薬やミネラルコルチコイド受容体阻害薬が承認されているが、CKD患者に投与したときの有効性
は、蛋白尿の減少によって判断できることから、尿蛋白/尿クレアチニン比の定期的な測定はCKD治療薬の適切な使用につながる。
⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬
特になし
⑫その他
特になし
⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等
特になし
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