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提案書05(0802頁~0998頁)医療技術評価・再評価提案書 (168 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険既収載技術用)
整理番号

273201

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

難治性高コレステロール血症を随伴する薬物治療抵抗性ネフローゼ症候群に対するLDLアフェレシス療法
日本腎臓学会
05腎臓内科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

22小児科
関連する診療科(2つまで)
24泌尿器科

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する

提案当時の医療技術名

令和4年度

薬物治療抵抗性・進行性原発性ネフローゼ症候群に対するLDLアフェレシス療法
変更点:今回は「高コレステロール血症を随伴する」を追加、「進行性」を削除した。



追加のエビデンスの有無
診療報酬区分
診療報酬番号

再評価区分(複数選択可)


39(15)
1-A

算定要件の見直し(適応)

1-B

算定要件の見直し(施設基準)

該当する場合、リストから○を選択

1-C

算定要件の見直し(回数制限)

該当する場合、リストから○を選択

2-A

点数の見直し(増点)

該当する場合、リストから○を選択

2-B

点数の見直し(減点)

該当する場合、リストから○を選択



項目設定の見直し

該当する場合、リストから○を選択



保険収載の廃止

該当する場合、リストから○を選択



新規特定保険医療材料等に係る点数

該当する場合、リストから○を選択



その他(1~5のいずれも該当しない)

該当する場合、リストから○を選択

「6

提案される医療技術の概要(200字以内)



その他」を選んだ場合、右欄に記載

当該技術であるLDLアフェレシス療法は体外循環療法により血中のLDLを除去するため、薬物治療抵抗性のネフローゼ症候群であっても同症に随伴
する難治性高コレステロール血症を速やかに改善し、腎機能低下の進行を抑制することができる。また、高コレステロール状態にあっては本来の
薬効が抑制されているステロイドやカルシニューリン阻害剤等の生物学的利用を劇的に改善し、ネフローゼ症候群の寛解をもたらす効果を有す
る。

文字数: 199

再評価が必要な理由

ネフローゼ症候群(NS)はしばしば難治性高コレステロール血症のような脂質異常を随伴するため、ステロイドや免疫抑制剤の本来の薬効が損な
われ、薬物治療抵抗性を呈することが認められる。このような症例に対してLDLアフェレシス療法(LDL-A)を適用すると急速な脂質異常の改善に
より本来の薬効が回復し、速やかに寛解が得られるため1992年から保険区分J039の下で保険診療が可能になっているが、その適応疾患は巣状糸球
体硬化症(FGS)に限定されている。NSに対するLDL-Aの治療効果はFGSに留まらず微小変化型NS(MCNS)や膜性腎症(MN)などの原発性NS、また
糖尿病性腎症やループス腎炎などの続発性NSを問わずNS全般にLDL-Aは一定の治療効果を有することが症例報告だけでなくPOLARIS研究など臨床研
究でも明らかにされてきており、関連ガイドラインでも原疾患に因らない治療効果について言及されている。FGS以外の疾患に関しては、ループ
ス腎炎は全身性エリテマトーデスに合併するものであれば同じくJ039の保険診療が可能であり、令和4年度の診療報酬改定時では糖尿病性腎症に
対してLDL-Aの保険診療が認められた。しかしながら、MCNSやMNなど原発性NSに対しては依然として保険診療が行えない状態にあり、実臨床では
DL-Aの適用が難しい状態にある。相応のエビデンスがあり、LDL-Aによって治療効果が期待される疾患に対して遍くLDL-Aが適用できるようにLDLAの適応疾患を再評価することが必要である。

【評価項目】

①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)

・現行の保険診療
ネフローゼ症候群(NS)に呈するLDLアフェレシス療法(LDL-A)は、J039血漿交換療法(15)に「当該療法の対象となる巣状糸球体硬化症は、従
来の薬物療法では効果が得られず、ネフローゼ状態を持続し、血清コレステロール値が 250mg/dL以下に下がらない場合であり、当該療法の実施
回数は、一連につき3月間に限って 12 回を限度として算定する。」として1992年に保険収載されたが、その後新たなエビデンスが蓄積され、診
療ガイドラインの整備など治療環境が変化しているにも拘わらず見直しが行われていない。このような状況を鑑み、以下のように適応疾患及び適
用条件について再評価する必要があると考える。
・再評価すべき根拠
(1)巣状糸球体硬化症(FGS)以外の症例に対する有効性:前向きコホート研究であるPOLARIS研究[Clin Exp Nephrol 2015;19:379-386, Nephron
Extra 2015;5:58-66]においてFGS以外の疾患であってもFGSと同等の蛋白尿の改善効果が得られることが示された。また最近の症例報告において
も重度の蛋白尿に呈する膜性腎症(MN)11例に対するLDL-Aの有効性を示唆する成績[Ther Apher Dial. 2019; 23: 575-583(参考文献1)]や
LDL-Aにより急速な腎機能の悪化による血液透析からの離脱とNSの寛解が達成された2例の微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)[Int J Nephrol
Renovasc Dis. 2020; 13: 157-162(参考文献2)]等FGS以外の症例に対する有効性を示す報告が相次いでいる。また、LDL-Aの作用機序に関し
ても様々か観点から明らかにされてきており、代表的なものは総説[Clin Exp Nephrol 2014; 18:286-290, 日本アフェレシス会誌 2018; 37:
24-34, Ther Apher 2023 in press]にまとめられているが、FGSのみに特定されるものはなく、NSに共通する機序であると考えられる。これらに
基づき種々の診療ガイドラインにおいても難治性NSへのLDL-Aの適用に関してはFGSに限定されない記述がなされている。
(2)腎機能低下症例に対する有効性:LDL-AはNSに伴う急性腎不全のため一時的に血液透析が必要となるほど腎機能が低下した症例に対しても有効
性を示すことが報告されている[Pediatr Nephrol 2019; 34: 2343-2350(参考文献3)など]。また、新たにPOLARIS研究登録症例の事後解析が
行われ、腎機能が高度に低下した症例であってもeGFRが30 mL/min/1.73m2 以上であれば尿蛋白及び腎機能が改善され、治療後2年の時点において
も維持透析能導入を回避できうることを明らかされた[Ther Apher Dial 2022; 26: 220-228(参考文献4)]。
(3)コレステロール値の影響:腎と脂質研究会による全国調査研究により、血清総コレステロール値が220mg/dL以上の症例の方が220mg/dL未満の
症例に比べてLDL-A治療後の尿蛋白値が有意に低かったことが明らかにされた[Clin Nephrol 2007; 67: 341-344.(参考文献5)]。
以上のような状況に対応するため、以下のような保険適応の見直しを提案する。
「当該療法の対象となる難治性高コレステロール血症を随伴する薬物治療抵抗性ネフローゼ症候群とは、eGFRが30 mL/min/1.73m2以上の原発性ネ
フローゼ症候群(巣状糸球体硬化症、膜性腎症および微小変化型ネフローゼ症候群を主な対象とする)であって、従来の薬物療法では効果が得ら
れず、ネフローゼ状態を持続し、血清コレステロール値が 220mg/dL以下に下がらない場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に
限って 12 回を限度として算定する。」

②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

・対象とする患者
対象とする患者は、従来の薬物療法では効果が得られず、ネフローゼ状態を持続し、血清コレステロール値が 250mg/dL以下に下がらないFGS患
者である。ネフローゼ症候群であってもFGS以外の疾患、例えばMCNSやMNは現在の診療報酬の対象とはならない。
・医療技術の内容
申請技術であるLDL-A療法は、血液中のLDLを選択的に除去することにより速やかに脂質異常を改善する体外循環療法の一種である。薬物治療に抵
抗性を示すネフローゼ症候群であっても血漿中のLDLを強制的に除去することにより速やかに脂質異常を改善して腎機能低下の進行を抑制するだ
けでなく、脂質異常状態では抑制されているステロイドやカルシニューリン阻害剤等の生物学的利用を劇的に改善し、尿タンパクの減少や血中タ
ンパクの増加をもたらす効果を有する。
・点数や算定の留意事項
LDL-A療法は区分「J039 血漿交換療法」に含まれ、診療報酬点数は4,200点(1日につき)である。また、LDL-A療法の実施回数には「一連につ
き3月間に限って 12 回を限度として算定する」とされている。


診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

39

医療技術名

難治性高コレステロール血症を随伴する薬物治療抵抗性ネフローゼ症候群に対するLDLアフェレシス療法

969