提案書05(0802頁~0998頁)医療技術評価・再評価提案書 (178 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
273203
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
尿蛋白量評価における尿中クレアチニン測定の保険適用
日本腎臓学会
05腎臓内科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
06糖尿病内科
関連する診療科(2つまで)
01内科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
提案当時の医療技術名
リストから選択
―
有無をリストから選択
追加のエビデンスの有無
D
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
26
1-A
算定要件の見直し(適応)
該当する場合、リストから○を選択
1-B
算定要件の見直し(施設基準)
該当する場合、リストから○を選択
1-C
算定要件の見直し(回数制限)
該当する場合、リストから○を選択
2-A
点数の見直し(増点)
○
2-B
点数の見直し(減点)
該当する場合、リストから○を選択
3
項目設定の見直し
○
4
保険収載の廃止
該当する場合、リストから○を選択
5
新規特定保険医療材料等に係る点数
該当する場合、リストから○を選択
6
その他(1~5のいずれも該当しない)
該当する場合、リストから○を選択
「6
提案される医療技術の概要(200字以内)
文字数: 99
再評価が必要な理由
その他」を選んだ場合、右欄に記載
慢性腎臓病(CKD)重症化予防のため、CKDの早期発見のみならずCKDを含む腎疾患の治療選択・効果判定等の経過観察にも必要な「尿蛋白/クレア
チニン比」を実施することに対し、腎疾患判定加算を提案したい
「CKD診療ガイドライン2018」のCQ1-1「CKDはどのように診断されるか?」の項において、「特に0.15g/gCre以上の蛋白尿(30mg/gCre)以上のア
ルブミン尿の存在が重要」、CQ1-2「CKD重症度はどのように評価するか?」の項において「CKD診断と重症度分類では、国際的にはアルブミン尿
が用いられるが、日本の保険診療ではアルブミン定量(尿)は糖尿病または糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン用を疑うもの(糖尿病
性腎症I期またはII期のものに限る)とされている。そこでアルブミン尿が測定できない場合には、尿蛋白をg/gCreとして評価する。随時尿を用
いて尿蛋白を評価する際には、尿蛋白定量と尿クレアチニン(Cr)値測定により、尿蛋白/Cr比(g/gCr)を算出し、0.15g/gCr未満をA1(正常)、0.15
〜0.49g/gCrをA2(軽度蛋白尿)、0.5g/gCr以上をA3(高度蛋白尿)とする。尿試験紙法での尿蛋白定性評価は、-をA1,±をA2、1+以上をA2とす
るが、尿蛋白定性検査は濃縮尿や希釈尿の影響を強く受けるため、定量の結果で評価することが望ましい」と、尿定性検査よりも尿蛋白/Cr比の
測定が推奨されているとともに、診断時やその後の重症度分類を行う上でも尿蛋白/Cr比が必要であることが明記されている。
実際、山形県高畠の一般住人健診で尿試験紙定性検査で尿蛋白陰性であった3160人中、9.4%の301人で尿蛋白0.15g/gCre以上と尿蛋白陽性である
こと、また健診で尿蛋白陰性と判断されることが多い尿蛋白± 139人中、60%の84人もが実際には尿蛋白0.15g/gCre以上と尿蛋白陽性であったと
報告されている(Clin Exp Nephrol 2016;20:611-617)。また、福島県のかかりつけ医外来で行われた調査でも、試験紙で尿たんぱく定性陰性
5906人中、30%の1773人が尿蛋白0.15g/gCre以上、尿蛋白± 1179人中、63%もの740人が尿蛋白0.15g/gCre以上と、CKDの早期発見には尿蛋白/Cr
比での評価が定期的に行われることが必須であることが示されている(Clin Nephrol 2015;84:270-273)。
さらに、蛋白尿によるA分類によるステージ評価は、降圧目標、降圧剤選択といった治療にも必要であることが当該ガイドラインには記載されて
おり、CKD診療には欠かせない検査である。また腎疾患で多いIgA腎症の診療ガイドライン2020においても、当該疾患の臨床経過・病勢の指標とし
て、尿蛋白/Cr比が明記されているとともに、指定難病66としてのIgA腎症難病申請書においても、尿蛋白の検査値は定性ではなく、尿蛋白/Cr比
での記載が求められている。ネフローゼ症候群診療ガイドライン2020においても、ネフローゼの診断、治療効果判定に尿蛋白/Cr比が用いられて
いる。以上、尿蛋白/Cr比は腎疾患医療を行う上で根幹をなしており、初診時のみならず、再診時においても継続的に行うことが求められる検査
である。
一方で、再診時において、尿定性検査だけが行われた場合でも、尿蛋白定量検査だけが行われた場合も、さらにガイドラインで示されている尿
蛋白/Cr比を算出するべく尿蛋白定量に加え尿Cr測定を行っても、3者ともに尿・糞便等検査判断料34点が算定できるのみである。
CKDの重症化予防は末期腎不全患者数を抑制し、医療費の大幅な低減を齎すことが期待され。尿蛋白/Cr比検査実施を通じた早期診断・適切な治
療の継続はまさにCKD重症化予防の要である。また本検査は腎臓専門医のみならず、一般医科、とりわけかかりつけ医での実施の普及啓発が求め
られ、尿蛋白/Cr比を検査することの診療報酬上のメリットがあること(現在は尿の追加検査を行えば行うほど医療機関からの支出増に繋が
る)、少なくとも支出増とならないようにすることが重要と考えられる。
【評価項目】
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)
従来より、尿蛋白排泄量の評価法として、24時間畜尿を用いた尿蛋白定量(g/日)が行われてきた。しかし、感染症対策などで24時間蓄尿が推奨
されない(特に入院患者)場合や、24時間畜尿の検査の煩雑さから、common diseaseであるCKD診療では、より平易な評価法が求められている。
一方で、随時尿の尿試験紙による定性検査や随時尿の蛋白濃度のみで1日尿蛋白排泄量を推定することは困難である。しかし、クレアチニン(Cr)
を一定の率で尿に排泄される基準物質として利用し、尿蛋白/Cr比を算出すると、尿の希釈・濃縮を補正でき、1日尿蛋白排泄量を推定することが
できる。さまざまな腎機能・尿蛋白量の症例においても、尿蛋白/Cr比は1日尿蛋白排泄量と良好な相関を示すことがすでに報告されている(Arch
Intern Med 1987:147:943-944)。さらに、この尿蛋白/Cr比の使用は、日本腎臓学会編集の「CKD診療ガイド2012」からCKD診療に使用することが
推奨されており、現時点で最新の日本腎臓学会編集「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」にも引き続き記載されている。
②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項
・ 対象とする患者:慢性腎臓病(CKD)、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、IgA腎症、急性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎、ループス腎
炎、メタボリック症候群など、尿蛋白量の評価が診療上重要な腎疾患
・医療技術の内容:尿蛋白/クレアチ二ン比測定
・点数の算定の留意事項:現在、再診時においては尿定性検査だけが行われた場合でも、尿蛋白定量検査だけが行われた場合も、尿蛋白/クレア
チ二ン比値(g/Cre)を得るために尿蛋白と尿クレアチニン検査を行っても、3者ともに尿・糞便等検査判断料34点が算定できるのみである。尿
蛋白/クレアチ二ン比測定が適切に行われるようにするためにも腎疾患判定加算(尿蛋白/クレアチニン比を測定した場合)(案:22点程度)を、
年4回程度できる(それ以上の回数の場合には従来の通り尿・糞便等検査判断料に含める)ように提案したい。
D
診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)
26
医療技術名
腎疾患判定加算(尿蛋白/クレアチニン比測定)
979