提案書05(0802頁~0998頁)医療技術評価・再評価提案書 (53 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)
250点
その根拠
更年期障害の診断過程が煩雑であり正診に至るまで詳細な問診を繰り返す必要がある。診断後の治療法として頻用される漢
方療法と比較し、ホルモン製剤を用いた治療は専門知識や管理方法の熟知が必要である。しかし今までの医学教育では更年
期医療に関する内容が無く、系統的な教育をうけた医師は皆無である。そのため、更年期医療の重要性を理解し、この分野
に携わることで患者の病状改善、ひいては社会貢献に通じると認識し、一から勉強し時間をかけ知識を習得した医師でない
と治療することができない。また、治療開始後も有害事象回避のための選択肢を多く有していないと現場で対応することが
できない。さらに、次々と新しい情報が提供される分野であるため、学会参加、講演会・講習会への参加、関連書物の熟読
など日々知識・技術のアップデートを行う必要がある。これらの努力は患者管理に生かされるが、患者の年齢や体格、健康
状態は日々変化し、薬剤に対する反応も個々人および時間経過とともに変化するため、診察のたびの慎重な管理が要求され
る。
高い知識とホルモン製剤を使いこなす技術、さまざまな状況に対応した検査とその評価が再診のたびに必要なため、他の治
療法とは異なる有資格者による管理技術と言える。更年期以降女性の健康を取り戻すための充分な知識と技術を兼ね備えた
医師による管理は、その専門性から技術点数を有する行為であると考える。具体的には再診時、3か月に一回に限る更年期
症候群治療管理料、250点を要望したい。
⑩希望する診療
報酬上の取扱い
関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)
区分
その他(右欄に記載する。)
番号
―
技術名
―
具体的な内容
―
減(-)
プラスマイナス
予想影響額
該当なし
予想影響額(円)
-1,650億円
その根拠
1年間に30万人がホルモン療法をうけ、その内資格を有する医師(現時点では学会認定の女性ヘルスケア専門医)1,000人対
応するとした。学会の調査による、更年期障害で受診している患者概数は医師一人50名/年間であり80%の医師がHRTを
行っているとの報告を用いて計算した。(2,500円×4回)✕300,000人、30億円/年。
ただし、小規模な調査であるが更年期障害にて離職した率は10%との報告がある。労働率としても高い更年期世代、仕事に
熟練した指導的立場で管理職をも務める更年期世代を失う社会的な損失は膨大である。また離職をしないまでもフルタイム
での就労が困難となりやむなくパートタイムで対応している女性も多い。試算できない経済的マイナス要因は計り知れな
い。一方で、ホルモン療法を行うことにより元の仕事におけるパフォーマンスを取り戻すことができ、離職や休職を回避で
きる。
さらに、冠動脈疾患をスタチンで予防した場合の経済効果は1,270億円、骨粗鬆症をビスフォスフォネートで予防した場合
の経済効果は760億円と試算できる。50歳以上で脂質代謝異常治療中の女性がエストロゲンとして、結合型エストロゲン製
剤を使用した際の薬剤費は年間260億円で冠動脈疾患発症低下率は32%、50歳以上で骨粗鬆症治療中の女性197万人が結合型
エストロゲン製剤を使用した際の薬剤費は90億円で大腿部頸部骨折低下率は34~39%、結果的に全てホルモン療法に変更し
た場合の経済効果は、冠動脈疾患1,270-260=1,010億円/年、骨粗鬆症760-90=670億円/年、合計1,680億円/年の経済効果が
あると推測される。
備考
特になし
医薬品:販売名、一般名、承認番号、効能又は効果、薬価
①プレマリン0.625mg、結合型エストロゲン、21100AMY00081、卵巣欠落症状、卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎(老人、
小児および非特異性)、18.90円/錠
②ジュリナ0.5mg、エストラジオール、22000AMX01595000、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot
flush及び発汗)・腟萎縮症状、閉経後骨粗鬆症、59.70円/錠
③エストラーナテープ0.72mg、エストラジオール経皮吸収型製剤、21900AMX01357000、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う
血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)・泌尿生殖器の萎縮症状、閉経後骨粗鬆症、性腺機能低下症、性腺摘出又は原発
⑪提案される医療技術において使用される医薬品、医療機 性卵巣不全による低エストロゲン症、94.40円/枚
器又は体外診断薬
④ル・エストロジェル0.06%、エストラジオール外用ゲル剤、21800AMY10135、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運
(主なものを記載する)
動神経症状(Hot flush及び発汗)、23.90円/g
⑤ディビゲル1mg、エストラジオールゲル剤、21900AMY00037、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot
flush及び発汗)、57.70円/包
⑥メノエイドコンビパッチ、エストラジオール・酢酸ノルエチステロン経皮吸収型製剤、22000AMX02367、更年期障害及び
卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(Hot flush及び発汗)、385.10円/枚
⑦エフメノカプセル100mg、プロゲステロン、30300AMX00450、更年期障害及び卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時
の子宮内膜増殖症の発症抑制、229.70円/カプセル
医療機器:婦人科内診台、子宮頚部および体部細胞採取用具、経腟超音波機器
⑫提案される医療技術の海外における公的医療保険(医療
保障)への収載状況
※ 該当する場合、国名、制度名、保険適用上の特徴
(例:年齢制限)等
1)収載されている
1)を選択した場合は、下の欄に詳細を記載。
米国、英国、EC各国を始めほとんどの国が更年期障害の代表的症状であるホットフラッシュ(血管運動症状)に対するエ
ストロゲン製剤を承認している。米国FDAは2020年時点で50種類のエストロゲン製剤を承認している。
⑬提案される医療技術の先進医療としての取扱い
d. 届出はしていない
⑭その他
更年期および更年期障害と仕事または労働能力についてのエビデンス
海外では、更年期症候群が社会生活上の障害や仕事に関連する困難を引き起こす。その治療としてホルモン補充療法
(HRT)の費用対効果において支持されている。また、更年期女性の労働問題は21世紀の社会にとって非常に注視すべき事
柄でありその治療の重要性が指摘されている。ホルモン補充療法(HRT)の適応があるにも関わらずHRTを施行しなかったこ
とが、労働能力に影響を与え病気による仕事の欠勤の増加という影響を与え、時代が進むにつれて重要性を増す問題と指摘
されている。さらに、女性はより長寿となり、より長く仕事をする。実際にすべての雇用形態における50歳以上の労働力の
約45%が女性であり、その全員が閉経とそれによる症状(更年期症状)を経験する。典型症状のホットフラッシュは集中力
の低下、疲労、記憶力の低下、うつ症状、気持ちの落ち込み、自信の低下、眠気などに関連する要因である。更年期症状が
女性の生産性、仕事の満足度、効率性に及ぼす悪影響に女性がどのように対処されるかによって大きな違いをもたらす可能
性があり、ホルモン治療など適切な対応がなされた場合、最終的な分析では、雇用主と従業員の両方に利益をもたらす。
本邦においても日本医療政策機構の調査による「働く女性の健康増進調査2018」があり、更年期症候群が労働生産性障害の
有症率を示している4)。現在または過去に更年期症状や更年期障害があった人は約42%いた。この42%の対象者のうち、
更年期症状や更年期障害により仕事のパフォーマンスが半分以下になる人が約半数(46%)おり、本来の労働能力の3割未
満まで低下したと自覚した女性は実に17%存在した。しかし、これら仕事のパフォーマンスを明らかに低下させる更年期障
害に苛まれた際の対処方法を聞いたところ、「何もしていない」人が最も多く64.4%に及び、適切な治療が行き届いていな
い事実が明らかとされている。
⑮当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等
無し
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