よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


提案書05(0802頁~0998頁)医療技術評価・再評価提案書 (139 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

見直し前の症例数(人)

0 (社会医療診療行為別統計では心身医学療法を算定した重症過敏性腸症候群の数字が不明)

見直し後の症例数(人)

2,200

見直し前の回数(回)

0 (社会医療診療行為別統計では心身医学療法を算定した重症過敏性腸症候群の数字が不明)

見直し後の回数(回)

22,000

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

国際診断基準Rome IVによる過敏性腸症候群の正確な有病率は最新の日本を含めた国際疫学研究で2.2%と判明した(Gastroenterology 160: 99114, 2021)。その中で医療機関を受診して患者になる者が1%、薬物療法無効で心身症の病態を持つ重症患者は更にその5%である。ここから、
2,200人の重症の過敏性腸症候群(心身症)患者が医療機関(200床以上の病院)を受診すると計算できる。

・学会等における位置づけは日本心身医学会、日本心療内科学会、日本消化器病学会において高い。 難易度(専門性等):心療内科(心身症)
専門医は専門医資格取得後に認知行動療法の教育セッションを繰り返し受けており、通常の診療で過敏性腸症候群(心身症)を実施し得る。この
ため、難易度・専門性は高い。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 心療内科、精神科
制等)
人的配置の要件
心身症専門医など、過敏性腸症候群の認知行動療法に習熟した医師、あるいは、その医師とその医師の指導監督のもとに診療に参加する看護師も
(医師、看護師等の職種や人数、専門 しくは公認心理師
性や経験年数等)
その他
日本心身医学会の教育セッションを受け、厚労省心身症ガイドラインの過敏性腸症候群診療ガイドライン、日本消化器病学会過敏性腸症候群診療
(遵守すべきガイドライン等その他の ガイドラインを遵守すること。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

副作用のリスクはほとんどないと報告されている。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

全く問題がない。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後

80
480

その根拠

他疾患の認知行動療法の点数と同様の点数が必要である。過敏性腸症候群の認知行動療法の奏効率、エビデンスレベルは高く、合理性がある。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

-



番号
技術名

004
心身医学療法

具体的な内容

心身症としての慢性痛に対して、一般心理療法、行動療法、自律訓練法などをおこなう。
増(+)

プラスマイナス
予想影響額(円)

88,000,000円

その根拠

過敏性腸症候群の正確な有病率が最新の日本を含めた国際疫学研究で2.2%と判明した。その中で医療機関を受診して患者になる者が1%、薬物療法
無効で心身症の病態を持つ重症患者は更にその5%である。ここから、2,200人の重症の過敏性腸症候群(心身症)患者が医療機関(200床以上の
病院)を受診すると計算できる。月2回、年間合計10回通院すると、105,600,000円と推計される。心身医学療法は80点であるため、同頻度では
17,600,000円になる。その差が88,000,000円である。

備考

これだけの医療費が必要だったとしても患者の労働生産性が回復し、税収が増えれば十分採算に合うと判断されるため、欧米では過敏性腸症候群
に対する認知行動療法が隆盛である。その科学的根拠は以下の通りである。過敏性腸症候群の悪影響は心理社会的ストレスが多い先進諸国に共通
する問題である。米国の重症過敏性腸症候群患者が非過敏性腸症候群患者に比較して社会コストに与える負担は約50%のコスト増加である。その
コスト増加の規模は227,475円/年/患者であり(Arch Int Med 163: 929-935, 2003)、最近の欧州の分析でも同程度である(BMG
Gastroenterolofgy 19: 69, 2019)。つまり現状においては既に日本においても23万円/年/患者規模の社会コストを喪失していると概算される
が、これら先進国の分析が広く認識されていない。専門医療機関を受診する重症患者2,200人にのみ限定して計算しても、コスト喪失は5億6百万
円/年に達し、真の実態は確実にそれ以上の社会的喪失がある。放置すればこの損失が続くと考えられるため、現時点での早期の対応は医療政策
的にも後年高い評価を受けると予想される。これに対し、今回支出する医療費の見込み額は8千8百万円に過ぎない。重症患者2,200人が認知行動
療法を受ければ、相対リスク0.62から相対リスク低下は0.38であることから、認知行動療法を実施しなかった場合に比較すると、38%の患者を非
過敏性腸症候群患者と同等の勤労・生産活動に復帰させることが見込まれる。その経済効果は日本社会全体で1億9千2百万円/年に達し、予想所用
額の8千8百万円/年を遥かに上回ることが明らかである。また、ここから、たとえ2,200人を超過して認知行動療法が実施されたとしても、逆に10
万円/人/年の陽性経済効果が見込まれる。以上から、欧米に遅れを取らない医療体制への早期整備が望まれる。

⑩予想影響額

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

なし(別紙、添付文書ともに不要)

⑫その他

本改訂により、医療難民となっている薬物療法無効の重症の過敏性腸症候群患者が受診できる医療機関が明示されるため、患者側への利点が大き
い。これだけの医療費が必要だったとしても患者の労働生産性が回復し、税収が増えれば十分採算に合うと判断される。

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

940