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資料2-4 厚生労働省の令和5年度研究事業に関する評価【概算要求前の評価】(案) (158 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26761.html
出典情報 厚生科学審議会科学技術部会(第130回 7/14)《厚生労働省》
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を改善する。
・ 科学的知見に基づく診断基準のより一層の精緻化を図る。
(2)これまでの研究成果の概要
【油症患者の支援と治療研究】
全国油症一斉検診の検体分析に関連し、分析カラムによる血中の PCB・ダイオキシ
ン類の測定精度を検証し、精度・感度が高度であることを確認したことを踏まえ、令
和元年度では至適条件についてさらに検討を行った結果、測定に要する時間を 15 分
短縮することに成功した。
油症患者の 50 年間の追跡調査を実施し、死亡リスクを検証した。その結果、一般
の人と比較すると、男性の油症患者では、全がん(SMR: 1.22, 95% CI: 1.02-1.45)、
肺がん(SMR: 1.59, 95% CI: 1.12-2.19)の死亡リスクが高かった。また、女性の油
症患者では、肝がん(SMR: 2.05, 95% CI: 1.02-3.67)の死亡リスクが高いことが明
らかとなった。
【疫学研究・基礎的研究】
○ダイオキシン類の生体内動体・次世代健康影響に関する研究
・ 令和2年度分担研究「油症患者におけるダイオキシン類の濃度変化」では、体脂肪
による補正を行い、ダイオキシン類の濃度変化を検討したが、従来の報告と同様にダ
イオキシン類の半減期が約 10 年の群と平均寿命よりも長い群があることが確認され
た。
○ダイオキシン類の免疫調節機構への影響(毒性)の解明
・ 令和2年度分担研究「油症患者における免疫機能の検討」では、油症患者では Th2
細胞の割合が増加傾向にあることが認められた。
○ダイオキシン類の中枢神経・末梢神経系への影響(毒性)の解明
・ 令和2年度分担研究「ダイオキシン類による神経障害の機構」では桂枝茯苓丸の有
効成分である桂皮を実験動物に投与し、ベンゾピレンによる神経障害が緩和される可
能性が示されつつある。
○ダイオキシン類の毒性を緩和する治療法の確立
・ 令和2年度分担研究「芳香族炭化水素受容体の制御機構」では、ダイオキシン類に
よって活性化された AHR が炎症を起こすメカニズムにおいて、活性酸素の産生による
酸化ストレスが重要な働きをすることが明らかとなった。このメカニズムを抑制する
薬剤として、糖尿病治療薬であるメトホルミン、漢方薬である黄連解毒湯にその可能
性があることを報告した。
○ 国際的な情報の還元
・ ダイオキシン類の慢性影響についての大規模な検証(疫学調査)は世界的にも例
がなく、2019 年以降に英文雑誌に報告した AHR 関連論文 30 編の引用回数は 295
回にのぼる(Scopus)。令和3年3月現在の Expertscape では世界第2位、日本
第 1 位にランクされた。

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