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04.【資料2-1】標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)(案)1/2 (76 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31652.html
出典情報 標準的な健診・保健指導プログラム改訂に関するワーキンググループ(第2回 3/7)《厚生労働省》
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医師から、貧血といわれたことがある。

選択肢

① はい ② いいえ

目的

詳細健診(貧血検査)の必要性を判定するために必要な質問。
ここでいう「貧血」は、ヘモグロビンなどの低下や異常によって酸素を運ぶ
能力が低下した状態を意味しており、検査としては赤血球数、ヘモグロビン
値(血色素量)
、ヘマトクリットを示す。またこれらを組み合わせて計算さ
れる指標もある。なおこの中では採血してから(例えば施設外での健診な

解説

ど)検査室に移送するまでの間の安定性が高いため、ヘモグロビン値(血色
素量)が疫学研究などでよく用いられてきた。貧血検査は、特定健診の法
律、政令の記載からは検査に含めるのが適当かどうか議論があるが、多くは
ないが非患者集団でも総死亡や循環器疾患死亡と関連するというエビデン
スがある(下記)

特定健診の目的に照らして、国内で行われたコホート研究で非患者集団に
おける貧血と長期的予後(脳・心血管疾患・糖尿病・腎機能の低下)につい
て検討している論文を、厚生労働科学研究(健康診査・保健指導における健
診項目等の必要性、妥当性の検証、及び地域における健診実施体制の検討の
ための研究:研究代表者 岡村智教(19FA0801)
)で検索した。研究班で
設定した検索式から41件の論文が抽出されたが、ほとんどは入院患者、心
不全患者、末期腎不全患者、透析患者、手術患者等を対象とした研究であ
り、選定条件に合致するものは1件のみであった。この研究では6万人の地
域住民(特定健診受診者)を5年間追跡していた。貧血(ヘモグロビン値:
男性13.0 g/dL未満,女性12.0 g/dL未満)は総死亡のリスク上昇と有意
に関連しており、この関連はeGFR(推定糸球体ろ過量)とは無関係に認め

エビデンス

られた1。また全国から層化無作為抽出した7,339人を25年の長期間にわ
たって追跡した研究では、慢性腎臓病(CKD:eGFR 60未満または尿蛋白
1+以上)および貧血(文献1と同じ定義)の有無で4つのカテゴリーに分
けて、循環器疾患死亡のハザード比(HR)を算出している。CKDのみ、貧
血のみ、両方を持つ者における循環器疾患死亡のHRは、男性でそれぞれ
1.27、1.59、2.60(95%信頼区間[CI] 1.06~1.53, 1.34~1.90, お
よび 1.80~3.76), 女性で1.42, 1.08, 2.00(95% CI 1.19~1.69,
0.99~1.18, および 1.54~2.60) であり、貧血を伴うCKDは、日本の
一般集団の循環器疾患死亡のリスク上昇と関連していた2。まとめとして、
貧血は短期的には総死亡のリスク上昇と関係していたが、これは健診時に
隠れている病気(血液疾患や悪性腫瘍)が影響している可能性もある。一
方、長期的にはCKDの重症化の指標として貧血を捉えることが可能であ
り、貧血を伴うCKDは循環器疾患の危険因子と考えられた。

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