令和4年版 消防白書 (170 ページ)
出典
公開元URL | https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf |
出典情報 | 令和4年版 消防白書(1/23)《総務省 消防庁》 |
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消防援助隊は、この法改正により、消防組織法上明
図るため、緊急消防援助隊の機動力の強化等を内容
確に位置付けられた。また、東海地震等の大規模な
とする消防組織法の一部を改正する法律が平成 20
災害で2以上の都道府県に及ぶもの、NBC 災害等の
年に成立し、施行された。
発生時には、消防庁長官は、緊急消防援助隊の出動
(ア)法改正の主な内容
のため必要な措置を「指示」することができるもの
法改正の主な内容は、災害発生市町村において既
とされた。国家的な見地から対応すべき大規模災害
に活動している緊急消防援助隊に対する都道府県知
等に対し、緊急消防援助隊の出動指示という形で、
事の出動指示権の創設、消防応援活動調整本部の設
被災地への消防力の投入を国が主導で行おうとする
置及び消防庁長官の緊急消防援助隊の出動に係る指
ものであり、東日本大震災という未曾有の大災害に
示要件の見直しとなっている。
際し初めて行われた。
(イ)都道府県知事の出動指示権の創設
(ウ)緊急消防援助隊に係る基本計画の策定等
法律上、総務大臣は基本計画を策定することとさ
れている。
都道府県の区域内に災害発生市町村が2以上ある
場合において、緊急消防援助隊行動市町村以外の災
害発生市町村の消防の応援等に関し緊急の必要があ
この基本計画は、平成 16 年2月に策定され、緊
ると認めるとき、都道府県知事は、緊急消防援助隊
急消防援助隊を構成する部隊の編成と装備の基準、
行動市町村において行動している緊急消防援助隊に
出動計画、必要な施設の整備目標等を定め、策定
対し、出動することを指示することができるものと
当初は緊急消防援助隊の部隊を平成 20 年度までに
された。これは、平成 16 年新潟・福島豪雨災害や
3,000 隊登録することを目標としていた。
平成 16 年新潟県中越地震において、県内において
(エ)緊急消防援助隊に係る国の財政措置
市町村境界を越える部隊の移動が行われたことなど
消防庁長官の指示を受けた場合には、緊急消防援
を踏まえ、制度を整備したものである。
助隊の出動が法律上義務付けられることから、出動
なお、都道府県境界を越える場合は、2以上の都
に伴い新たに必要となる経費については、地方財政
道府県に及ぶ調整となることから、消防庁長官が行
法第 10 条の国庫負担金として、国が負担すること
うこととされた。
としている。
(ウ)消防応援活動調整本部の設置
また、基本計画に基づいて整備される施設の整備
(イ)の都道府県知事の指示が円滑に行われるよ
については、
「国が補助するものとする」と消防組
う、緊急消防援助隊が消防の応援等のために出動し
織法上明記されるとともに、
対象施設及び補助率
(2
たときは、都道府県知事は、消防の応援等の措置の
分の1)については政令で規定されている。
総合調整等を行う消防応援活動調整本部(以下本節
(オ)緊急消防援助隊用装備等の無償使用
において「調整本部」という。
)を設置するものと
緊急消防援助隊の活動上必要な車両・資機材等の
された。調整本部は、都道府県及び当該都道府県の
装備等のうち、地方公共団体が整備・保有すること
区域内の市町村が実施する消防の応援等のための措
が費用対効果の面から非効率なものについては、国
置の総合調整に関する事務及びこの総合調整の事務
庫補助をしても整備の進展を期待することは難し
を円滑に実施するための自衛隊、警察等の関係機関
い。大規模・特殊災害時における国の責任を果たす
との連絡に関する事務をつかさどることとされた。
ためには、
その速やかな整備が必要な装備等もある。
(エ)
消防庁長官による緊急消防援助隊出動指示要
こうした装備等については、国が整備し緊急消防援
件の見直し
助隊として活動する人員の属する都道府県又は市町
緊急消防援助隊の指示対象災害は、従前は大規模
村に対して無償で使用させることができることとし
な災害で2以上の都道府県の区域に及ぶもの又は
た。
NBC 災害等に限られていたが、1つの都道府県のみ
で大規模な災害が発生した場合であっても、当該災
害に対処するために特別の必要があると認められる
155
消防防災の組織と活動
大規模地震に対する消防・防災体制の更なる強化を
章章
創設以来、要綱に基づき運用がなされてきた緊急
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東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震等の
第第
(イ)法律上の位置付けと消防庁長官の出動指示
ウ 平成 20 年消防組織法改正による機動力の強化