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令和4年版 消防白書 (220 ページ)

公開元URL https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf
出典情報 令和4年版 消防白書(1/23)《総務省 消防庁》
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(1)
災害時の消防力・消防活動能力向上に係る研

(ア)背景・目的

地震、津波、水害等の災害が発生し、迅速な避難
が必要となる場合、
人口減少や高齢化の進展に伴い、
自力避難困難者の安全を確保する重要性が高まって
いる。また、平成 23 年の東日本大震災では 281 人

台風災害、令和3年7月静岡県熱海市土石流災害な

の消防団員及び消防職員が犠牲となったが、ここで

ど自然災害が多発している。これらの災害時の救助

得られた教訓を救助業務に当たる職員の被害防止に

活動においては、速やかに被害の全容を把握すると

活かすことが重要である。

ともに、時間の経過により変化する状況を適切に評

そこで本研究では、要配慮者や要支援者を含む自

価して隊員の安全を確保することが必要であり、そ

力避難困難者による避難開始時間や避難行動時間の

れに資する情報の収集及び分析は重要である。本研

予測高精度化を行うとともに、避難困難区域図の作

究では、土砂災害現場を主な対象として、詳細な地

成に必要な基礎資料の提供を行うことを目的とす

形データを用いた二次災害危険場所の抽出と評価方

る。

法の開発、新技術を用いた情報収集システムの開発

(イ)令和3年度の主な研究開発成果
a

避難開始時間について、平成 30 年7月豪雨

できる情報分析・評価手法の研究を行う。

時の行動を分析した結果、自家用車を移動手段

(イ)令和3年度の主な研究開発成果

とした要配慮者については、他の手段(親類の

レーザースキャナを搭載したドローンを用いて、

車、避難バス、近隣の人の車等)に比べ、避難

夜間でも地形を計測できる仕組みを構築し、判読の

開始時間が遅くなる傾向にあることがわかっ

精細さと物体の移動を検出する精度について調べた

た。その原因としては、自家用車は家族のみの

(第 6-1 図)
。図の右下の3つの図は、物体を移動さ

運用であるのに対し、それ以外の手段はいずれ

せなかった場所、10 センチメートル移動させた場

も家族以外が介在するため、避難開始時間に影

所及び 20 センチメートル移動させた場所の3つの

響した可能性がある。避難開始時間は、負傷し

場所についての地形の断面を表し、赤い点は物体の

た場合や日常生活自立度(寝たきり度)の程度

移動前の地形、白い点は物体の移動後の地形を表し

が重い場合に長くなる傾向にあり、避難情報を

ている。この違いから、物体の移動を検出した。検

認識した数が多い場合や家庭内で過去の被災

出精度の向上のため、計測方法及び計測後の処理手

歴を語り継いでいる場合に短くなる傾向があ

法の改良について検討した。その他、ドローンを用

ることがわかった。

いた画像収集とリアルタイムでの画像分析の仕組み
の構築を目指した開発を実施した。
第 6-1 図

 ローンを用いた夜間の地形計測手法

の開発のための実験の様子(左上)と
物体を移動させた前後の地形の変化(右
下)

205

消防防災の科学技術の研究・開発

平成 30 年北海道胆振東部地震、令和元年東日本

及び人員・通信手段等に制約がある現場環境で運用

章章

報分析・評価手法の開発

(ア)背景・目的

66

ア 自然災害時の現場対応型情報収集システムと情

第第

究開発

イ 自力避難困難者の避難に関する研究