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令和4年版 消防白書 (223 ページ)

公開元URL https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf
出典情報 令和4年版 消防白書(1/23)《総務省 消防庁》
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6章



第 6-4 図

消防防災の科学技術の研究・開発

煙で可視化した火災旋風

部に設置可能な帯電を測定するための容器(ファ
ラデーケージ)からなる装置を試作した。
引火性液体のミスト爆発を観察できる、ミスト
生成と電気火花で着火させられる実験装置を製
作した(第 6-5 図)

第 6-5 図

ミスト発生と着火が行える実験装置

(3)
火災原因調査と火災避難の高度化に関する研
究開発
ア 火災原因調査の高度化に関する研究
(ア)背景・目的
火災を減らすには、火災原因を明らかにし適切な
予防対策を講じることが必要である。信頼性の高い
原因判定には、現場残さ物が何であるかの分析手法

イ 高層建築物の順次避難における避難順序

と同定手法、噴出した油類のミスト爆発の性状など

算定方法

の専門性の高い分野での現場で使える情報やデータ

(ア)背景・目的

を提示する必要がある。このため、現場残さ物の物

消防法に基づき、防火管理者は消防計画の提出と

質同定手法を開発すること、引火性液体に着目し着

避難訓練の実施が義務付けられている。
一般的には、

火と爆発に関する現象を明らかにすることを目的と

設計時の避難計画では各階から流入する避難者によ

した研究を行っている。

る階段室内での合流と混雑は考慮されていない。避

(イ)令和3年度の主な研究開発成果

難時間の長期化、逃げ遅れ等を防ぐためには、階段

a

現場残さの物質同定に関する研究

室内の混雑緩和とリスクの高い階からの優先的避難

加熱前後の綿とポリエステルの混紡布を試料と

を目的とした順次避難を行う必要がある。本研究は

し、熱分解ガスクロマトグラフィーにより分析す

順次避難における具体的な避難方法を明らかにする

ると、綿が熱による影響を受けやすく、ポリエス

ことを目的とする。

テルと誤判断が起きやすい可能性を見いだした。

(イ)令和3年度の主な研究開発成果

また、綿とポリエステルは加熱による分解がそれ

高層建築物において避難経路となる階段における

ぞれ単独で進行し、相互に反応しないことがわか

降下状況の観測方法を検討し、階段降下状況を観測

った。

するための映像記録機器の動作検証を行った。観測

通常環境下で電気的なショートで作成した電気

を行う施設の実地調査を行い、降下状況の映像を記

溶融痕に対し、電子顕微鏡により表面観察と元素

録するための撮影箇所、これを満たす撮影機の設置

分析を行った。表面観察では滑らかに溶けている

方法を検討した。

部分と小さなくぼみのある部分が認められ、表面

上記観測機器を用いて高層建築物における階段降

の元素分析では放電前のほぼ銅のみである電線

下状況の観測実験を行った。実験は、被験者が実際

の表面よりも酸化銅の生成による酸素の増加を

に高層建築物の階段を降下する様子を観測し、この

確認できた。

際の被験者の階段降下状況を記録した。この記録映

b

像を元に、階段降下時の歩行データとして、歩行座

引火性液体の燃焼性状に関する研究
液体の衝突帯電を計測するための実験装置の仕

標の抽出を行った。抽出した座標は、実験実施前の

様検討と設計を行い、水やアルコール、灯油など

実地調査時に実測した実地寸法等の空間情報に基づ

を扱える防爆仕様の液体噴射装置と衝突板を内

き修正し、当該座標を用いて単独と集団における階

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