令和4年版 消防白書 (212 ページ)
出典
公開元URL | https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf |
出典情報 | 令和4年版 消防白書(1/23)《総務省 消防庁》 |
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る。
定非営利活動法人消防環境ネットワーク*6 を中心と
した、一般社団法人日本消火装置工業会や消防機関
3.個別の国に対する日本の消防用機器等の
等の国内関係者の継続的な取組により、世界でも例
のない厳格な管理体制が整備されている。
政府において、個別の国の消防・防災関係者に対
一方、ハロン消火剤の代替となる消火剤を用いた
し、日本の消防用機器等の品質、規格・認証制度を
消火設備や、不活性ガスである窒素、IG-55(窒素
紹介し、日本規格の浸透に向けて取り組み始めてい
とアルゴンの混合物)及び IG-541(窒素とアルゴ
る。
ンと二酸化炭素の混合物)を用いた消火設備も設置
特に、日本の消防用機器等に関する規格・認証制
が認められた。
度に高い関心を示しているベトナムとは、平成 30
ハロン消火剤の代替となる消火剤のうち HFC(ハ
年 10 月8日に「日本国総務省とベトナム社会主義
イドロフルオロカーボン)については、
「地球温暖
共和国公安省との消防分野における協力覚書」を締
化対策計画(令和3年 10 月 22 日閣議決定)
」にお
結し、当該覚書に基づき、予防政策や消防用機器等
いて、温室効果ガスとして排出抑制・削減の対象と
の基準等についての意見交換や、日本の消防・防災
なっているため、消防庁では回収・再利用等により
機器関連企業による製品のプレゼンテーション等を
排出抑制に努めるよう要請している。
行うことで、日本の消防用機器等の品質の高さを
今後も、国際会議等における地球環境保護の動向
PR してきた。また、ベトナムにおいて消防用機器
等に留意しながら、引き続きハロン消火剤等を適切
等の規格・基準及び認証制度の開発に係る研修プロ
な管理の下に使用していくとともに、建築物等の防
グラムを実施するため、消防庁とベトナム公安省で
火安全性を確保しつつ、回収・リサイクルを推進す
調整を行っているところである。
ることにより、
不要な放出を抑えていく必要がある。
引き続き、ベトナムをはじめ幅広く東南アジア諸
国等に対し働き掛けていくことで、日本の規格に適
合する消防用機器等の海外展開を推進していくこと
2.PFOS を含有する泡消火薬剤の排出抑制に
ついて
泡消火設備は、駐車場や危険物施設等において用
としている。
いられている消火設備である。しかしながら、一
部の泡消火薬剤に用いられている有機フッ素化合
地球環境の保全(ハロン消
火剤等の放出抑制等)
)が、
(PFOS*7)又はその塩(以下「PFOS 等」という。
1.ハロン消火剤等の放出抑制について
難分解性、生物蓄積性、毒性及び長距離移動性を有
物の一種であるペルフルオロオクタンスルホン酸
ハロンはオゾン層を破壊する物質であることか
する残留性有機汚染物質から人の健康及び環境を保
ら、
「オゾン層の保護のためのウィーン条約」に基
護することを目的とした「残留性有機汚染物質に関
づき、モントリオール議定書において、生産等が全
するストックホルム条約」において、製造及び使用
廃されることとなった。
等を制限する物質として追加された。
*5
しかしながら、ハロン消火剤 (ハロン 2402、
これを受け、我が国においても、化学物質の審査
1211 及び 1301)は、消火性能に優れた安全な消火
及び製造等の規制に関する法律施行令等が改正さ
剤として、建築物、危険物施設、船舶、航空機等に
れ、その製造、輸入等が原則として禁止されるとと
設置される消火設備・機器等に幅広く用いられてい
もに、業として泡消火薬剤等を取り扱う際には、厳
る(令和4年3月現在、約1万 7,000 トン)
。
格な管理や保管容器への表示等の義務が課されるこ
*5
*6
*7
ハロン消火剤:ハロゲン化物消火剤のうち、フロンの一種で臭素を含有する物質を消火剤とするもの。
特定非営利活動法人消防環境ネットワーク:ハロン消火剤の回収・リサイクルのため、ハロン消火剤を使用するガス系消火設備等のデー
タベースを作成・管理する団体であり、平成 18 年1月に業務を開始した。「ハロンバンク推進協議会」(平成5年(1993 年)7月設立)
の業務を継承している。
PFOS、PFOA:Perfluorooctane sulfonic acid、Perfluorooctanoic acid の略称である。
197
国際的課題への対応
品質、規格・認証制度の浸透への取組
章章
日本消防検定協会から英訳の証明書を発出してい
55
このため、消防庁では、ハロン消火剤の放出抑制
第第
機器等の日本規格への適合性について、消防庁又は