各論

第２章

特措法運用

また、医療従事者を対象としたワクチンの先行・優先接種に続いて、高齢者を対象
とした優先接種を開始した 102。
（３回目の緊急事態宣言―①：2021.4.25～2021.6.20 103）
2021 年３月 21 日に緊急事態宣言は終了したものの、新規陽性者数は同月上旬以
降、大都市部を中心に増加が続き、重症者数も増加が見られた 104。４月 1 日には、全
国で初めて大阪府より特措法に基づきまん延防止等重点措置の実施を求める要請（特
措法第 31 条の４第６項）があった。都道府県知事からまん延防止等重点措置の要請
を受けた場合には、当該要請を最大限尊重し、速やかに検討するとする衆・参両院に
おける「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附
帯決議」も踏まえて、また、宮城県では３月上旬から感染が急速に拡大し、入院者数
も増加しており、関西では感染が再拡大し、京都府及び大阪府での直近の実効再生産
数が１を上回る水準であると評価 105されたことなどから、政府対策本部において、宮
城県、大阪府及び兵庫県の３府県を対象に、まん延防止等重点措置の初めての実施を
決定した（特措法第 31 条の４第１項）
（2021.4.5）
。なお、当該決定は、まん延防止等
重点措置の公示について、国会へその旨及び必要な事項について速やかに報告するこ
ととする衆・参両院における上記「附帯決議」も踏まえて、衆・参両院の議院運営委
員会にて事前に報告 106の上で行った。
この時期においては、重症化しやすい可能性も指摘されていたアルファ株 107の感
染者の増加が見られ、急速に従来株からの置き換わりが進みつつあった 108。その後、
東京都では、３月中旬以降新規感染者数の増加が続いたほか、関西では変異株への置
詳細は、「第５章 ワクチン」を参照。
本章では、緊急事態措置区域を沖縄県のみに変更する 2021 年６月 20 日までを扱う。
104
全国の新規感染者数（対人口 10 万人）の動向を見ると、6.52 人（3/11～3/17）
、7.77 人
（3/18～3/24）
、11.11 人（3/25～3/31）と増加傾向が見られた。全国の重症者数の動向につい
ても、609 人（3/17）
、630 人（3/24）と増加傾向が見られた。
105
2021 年３月 31 日アドバイザリーボード
106
以降もまん延防止等重点措置の公示、公示期間の延長、区域変更、解除する場合など、議院
運営委員会に 24 回報告を行った（2022 年５月末時点）
。
107
2020 年 12 月 27 日、厚生労働省より国内で「アルファ株」の患者が発生したことを発表。国
立感染症研究所により、アルファ株は、実効再生産数の期待値が従来株の 1.32 倍（「日本国内で
報告された新規変異株症例の疫学的分析（第１報）
」（2021.4.5）国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10279-covid19-40.html）
、
診断時に肺炎以上の症状を有しているリスクが従来株の 1.4 倍（40-64 歳では 1.66 倍）と推定
（
「日本国内で報告された新規変異株症例の疫学的分析（第 2 報）
」
（2021.5.10）国立感染症研究
所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2551-lab-2/10354covid19-45.html）されているほか、重症化しやすい可能性も指摘されていた。
108
この時期、職員感染による市区町村役所の閉鎖が見られた。報道によると、滋賀県大津市役
所では、本庁舎勤務の市職員 11 人が感染した際、４月 25 日から５月６日にかけて市役所本庁舎
の全面閉鎖を行った。名古屋市緑区役所では職員計９人の感染を受け、消毒のために区役所本庁
舎を４月 7 日に全面閉鎖した。
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