令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (160 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
労働時間の把握の一つの方法として、労働者が自己の労働時間を自主的に申告することに
より把握する「自己申告制」があるが、この「自己申告制」の不適正な運用等により、労働
時間の把握が曖昧となり、その結果、過重な長時間労働や割増賃金の未払いといった問題が
発生している。こうしたことを防止するため、
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ず
べき措置に関するガイドライン」を平成 29 年1月 20 日に策定し、労働基準監督署を通じ、
企業に対して遵守のための指導を行うとともに、リーフレットを Web サイトに掲載する等に
より周知を行っている。
中でも、労働時間の把握については、原則として、使用者が自ら現認すること、又はタイ
ムカード、IC カード等の客観的な記録を基礎として労働者の始業・終業時刻を確認すること
第
により、適正に記録することとされているガイドラインを踏まえた指導を行っている。
章
4
(5)是正指導段階での企業名公表制度の運用
過労死等の防止のための対策の実施状況
平成 27 年5月より違法な長時間労働が複数の事業場で行われた企業について、その事実を
第
広く社会に情報提供することにより、他の企業における遵法意識を啓発する等の観点から、
4
都道府県労働局長が企業の経営トップに対し指導し、その企業名を公表している。
章
過
労
死
等
の
防
止
の
た
め
の
対
策
の
実
施
状
況
(6)36 協定に関する法令の周知指導
労働者を時間外又は休日に労働させる場合には、労使協定(以下「36 協定」という。)を
締結し、事前に労働基準監督署に届け出なければならない。違法な長時間労働を解消するた
めには、必要な 36 協定を締結しない又は届出を行わない事業場をなくしていく必要があり、
36 協定に関する法令の周知と遵守の指導を行っている。
また、36 協定については、労働基準監督署に届出があった際の助言、指導を強化すること
等により、事業主に対し、労働者に 36 協定の内容を周知させることを徹底するとともに、月
45 時間を超える時間外労働や休日労働が可能である場合であっても、36 協定における特別延
長時間や実際の時間外・休日労働時間の縮減について「労働基準法第三十六条第一項の協定
で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」
(平成 30
年9月7日厚生労働省告示第 323 号)等を踏まえた指導を行っている。
コラム2 労働基準監督官の指導を契機に労働環境を改善
厚生労働省では、労働基準監督署を通じ、長時間労働が行われている事業場への監督
指導に重点的に取り組んでいます。ここでは、事業場トップが労働時間管理に対する意
識を改め、リーダーシップを発揮し、過重労働をなくすための各種対策を積極的に実施
したことによって、長時間労働の是正が図られた事例を紹介します。
関東地方の労働基準監督署が、金属製品製造業を営む工場(労働者数約 90 人)に立
入調査を実施しました。
その際、労働基準監督官が、労働者の労働時間の状況を確認しようとしたところ、事
業場のトップである工場長から、
「労働時間の管理は、本社の総務部が担当しており、工
場では正確な時間数を把握していない」という説明がありました。
労働者の労働時間は、
152
152
152