令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (284 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
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使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働する
ことができるよう、必要な配慮をするものとすると規定されており、労働安全衛生法
第3条第1項において、事業者は、職場における労働者の安全と健康を確保するよう
にしなければならないと規定されている。
長時間労働の削減や年次有給休暇の取得促進等の積極的な取組は企業価値を高める
こと、また、過労死等を発生させた場合にはその価値を下げることにつながり得るこ
とから、企業の規模にかかわらず取組を進める必要がある。
これらのことから、事業主は、国が行う第3に掲げる対策に協力するとともに、労
働者を雇用する者として責任をもって過労死等の防止のための対策に取り組む。
また、事業主団体・経済団体は、個々の事業主では改善が困難な長時間労働につな
がる商慣行の是正に向けた取組を推進していく。
資料編
なお、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に
関する法律、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及
び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律において、
職場におけるハラスメントについて、雇用管理上の措置を講じなければならないこと
や事業主の責務が規定されている。
(1)経営幹部等の取組
過労死等の裁判例においては、法人としての安全配慮義務違反や法令の遵守が徹底
されていなかったことが指摘されていることに加え、過労死等を発生させた場合には、
企業価値の観点から企業の信用を失うことにもつながるものであり、企業の経営幹部
等はこうしたことを十分に認識し、過労死等は発生させないという決意を持って関与
し、先頭に立って、労働者の生命を守り、健康を害するような働き過ぎを防ぐための
対策を行う。具体的な対策として、近年、過労死等は、働き盛りの年齢層に加え、若
い年齢層にも発生していることを踏まえ、自社の労働時間管理の制度や運用を含めた
人事・労務の点検・見直しに取り組む。また、年次有給休暇の取得促進、勤務間イン
ターバル制度の導入、メンタルヘルス対策、ハラスメントの防止・解決等の取組を実
情に応じて進める。さらに、事業場において過労死等が発生した場合には、経営幹部
や現場の長が自ら、必要な全社研修の実施、シンポジウムや各種研修会への参加、職
場の上司や同僚との関係等の調査による原因究明を図り、再発防止の徹底に努める。
(2)産業保健スタッフ等の活用
事業主は、過労死等の防止のため、労働者が産業医、保健師、看護師等の産業保健
スタッフ等に相談できるようにする等、その専門的知見の活用を図るよう努める。
これらのスタッフがいる事業場では、相談や職場環境の改善の助言等、適切な役割
を果たすよう事業主が環境整備を図るとともに、これらのスタッフがいない規模の事
業場では、産業保健総合支援センターを活用して体制の整備を図るよう努める。
なお、産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフ等は、過労死等に関する知見
を深めるとともに、職場環境の確認状況も踏まえて、適切な相談対応等ができるよう
にすることが望まれる。したがって、産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフ
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