令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (162 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
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1.2
1.2 過重労働による健康障害の防止対策
長時間働くことにより労働者が健康を損なうことがないよう、疲労の蓄積をもたらす過重
労働を是正するとともに、事業者が労働者の健康管理に係る措置を適切に実施することが重
要である。
平成 31 年4月施行の改正労働安全衛生法関係法令により、事業者は、労働者の労働時間の
状況を把握しなければならないこととされ、時間外・休日労働時間が1か月当たり 80 時間を
超え、かつ、申出のあった労働者、労働基準法による時間外労働の上限規制が適用されない
研究開発業務に従事する労働者又は高度プロフェッショナル制度が適用され、かつ、長時間
労働を行った労働者に対して、面接指導を実施しなければならないこととされた。また、都
第
道府県労働局や労働基準監督署が行っている監督指導や個別指導、集団指導において、
「過重
労働による健康障害防止のための総合対策」
(平成 18 年3月 17 日付け基発第 0317008 号・令
4
章
和2年4月1日改正)に基づき、事業者に対して「過重労働による健康障害を防止するため
事業者が講ずべき措置」について周知や指導の徹底を図っている。
過労死等の防止のための対策の実施状況
第
前記 1.1(2)に記載した令和4年度に監督指導を行った 33,218 事業場のうち 26.6%に当た
4
る 8,852 事業場で、健康診断を行っていない等、過重労働による健康障害防止措置が未実施
章
であることを確認したため、是正・改善に向けた指導を行った。さらに、監督指導実施事業
場のうち、40.0%に当たる 13,296 事業場に対して、長時間労働を行った労働者への医師によ
過
労
死
等
の
防
止
の
た
め
の
対
策
の
実
施
状
況
る面接指導等の実施など過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導した。
コラム3
産業医の視点での過重労働の実際、過労死等防止のための
企業側の取組と課題
私の仕事は産業医です。
多くの企業と契約し、
産業医業務を請け負っています。産業医とは、
企業において労働者の健康管理や職場環境・作
業の管理など、いわゆる産業保健活動を企業か
ら委託されて行っている医師のことです。大企
業に専属で産業医として勤務している医師、病
院や診療所で診療を行いながら嘱託で産業医も
している医師のほか、私のように産業医事務所を独立して立ち上げ、産業医業務を本職
として行っている医師も最近増えてきました。過重労働が発生している企業で、労働者
と面談を行って過労にならないようにアドバイスを行ったり、企業の人事担当者と取る
べき対策・措置を一緒に考えたりすることも産業医の大事な仕事の一つです。
私が担当している企業では、既に残業がほぼないところがいくつかあります。10 数年
前から企業の方針として残業時間の削減(ワークスタイルイノベーション)に取り組ん
できました。ただ、業種的に業務の負荷が大きい部署もあり、メンタル不調者は出てい
ます。過重労働は労働時間だけでなく業務の負荷要因も大きいことを実感させられます。
平成 31 年4月に時間外労働の上限規制が施行されてから、長時間労働が発生してい
る企業はかなり減ったと思われます。しかし、長時間労働が発生しないように根本的な
業務改革を行った企業は私が知る限りにおいて多くはありません。業務量が多く、しか
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