令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (170 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
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労働者の勤怠データ、健診データ、ストレスチェックデータ、質問紙データ(労働時間、睡
眠など)を入力し、労働時間と各評価指標との関係を分析すると、労働時間が長いほど、健診
数値(BMI、血圧、LDL コレステロール)、心理的ストレス反応、起床時の疲労感、昼間の眠気
等が悪化する傾向がみられた。引き続き、協力企業に研究参加を促し、労働時間と健康指標、
心理的指標、睡眠指標との関係を分析したところ、健康診断指標では、さらに ALT(肝機能)、
空腹時血糖(糖尿病)、HbA1c(糖尿病)、中性脂肪との関連が示唆され、ストレスチェックでは
これまでの分析と同様、心理的ストレス反応との関連が示唆され、睡眠との関係でもこれま
での分析と同様、睡眠不足や入眠までの時間、起床時の疲労感、仕事中の眠気との関連が示
唆された。ただし、これらは限られた条件下での分析であり、今後長期間に渡って、多業種·
第
職種のデータを収集し、随時、健康に関する新たな指標を入力するといった継続的な取組を
通じて、関連性を分析することが重要と考えられる。
章
4
過労死等の防止のための対策の実施状況
(2)職場環境改善に向けた介入研究
第
過労死等を防止する有効な対策を把握するため、特定の事業場において、職場の環境を改
4
善するための取組を行っている。具体的には、職場において、毎日の労働時間や余暇時間、
章
客観的な疲労度やストレス度、睡眠などを継続的に測定し、職場環境改善対策の効果を検証
過
労
死
等
の
防
止
の
た
め
の
対
策
の
実
施
状
況
している。
平成 27 年度から平成 29 年度にかけては、これらの調査について実施方法の検討や調査協
力が得られる事業場の選定を進め、選定した事業場(規模約 50 人)において職場環境を改善
するための取組を実施する前の調査を行うとともに、取組を実施した後の効果を把握するた
めの調査を行った。
平成 30 年度からはこの調査を継続し、トラック運転者、看護師等について、職場環境改善
による疲労の軽減等の検証を行っている。令和4年度からは、介護士も対象に加え、調査を
継続している。
(これまでの主な分析)
①
労働現場における過労リスクの評価ツールの開発と対策の検討
労働現場での効果的な疲労対策の立案を念頭に、1)働く人々の過労リスクを簡便に測定
するための調査票ツール「過労徴候しらべ」の開発、2)疲労回復に重要な夜間睡眠の取得
状況に着目し、交替制勤務における睡眠マネージメントの検討、3)勤務間インターバルの
確保と夜間睡眠の取得を促す交替制勤務シフトへの現場介入調査を実施した。
1)の過労死等事案から過労の徴候を抽出して作成した「過労徴候しらべ」に関しては、
1,992 名のドライバー(男性が 1,947 名)と 536 名の看護師(女性が 451 名)を対象に、労
働・生活要因と過労徴候の関連性を明らかにするための調査を行った。その結果、過労徴候
しらべ得点と脳・心臓疾患の既往歴の間に有意な関連性が認められたことから、調査票とし
ての有効性が一部、認められた。
2)の睡眠マネージメントに関しては、536 名の看護師を分析対象とし、1か月間、毎日、
勤務と睡眠の時間を日誌に記録するように求めた。22 時から8時までの間の4時間以上の睡
眠を夜間睡眠と定義して分析した結果、夜間睡眠が少ない場合、様々な疲労関連指標が悪化
する傾向が見られた。
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