令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (210 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
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令和6年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制の年 960 時間が適用さ
れ、国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、何も対策を講じなかった場合、
令和6年には 14.2%、令和 12 年には 34.1%の輸送能力が不足すると試算しています。
物流のあり方に大きな影響を及ぼす問題であることから、昨今では「物流の 2024 年問
題」として国会審議やマスコミなどで大きく取り上げられるようになりました。
トラック事業者にとっては、法令を守らなければ罰則が科されることから、今後荷主
からの輸送の依頼を断るケースも予想されます。現実にトラック事業者の中には、長距
第
離輸送を縮小する、あるいは条件の悪い運送を断るなどの動きも出始めています。
また、トラック事業者が時間外労働削減のために受注する仕事を減らせば、ドライバ
章
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ーの賃金は大幅に下がり、働き手の他産業への流出が進むことになります。単に労働時
過労死等の防止のための対策の実施状況
間を短縮するだけでなく、ドライバーの賃金を最低でも全産業平均並みとしなければ、
第
「物流の 2024 年問題」を回避することはできません。
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全日本トラック協会では、平成 30 年3月に「トラック運送業界の働き方改革実現に
章
向けたアクションプラン」を策定し、数値目標として令和6年4月には、
「時間外労働が
過
労
死
等
の
防
止
の
た
め
の
対
策
の
実
施
状
況
年 960 時間を超えるドライバーを「ゼロ」」を掲げて取組を進めています。毎年調査を
実施しており、令和4年度は、まだ 29.1%の事業者が「年 960 時間を超えるドライバー
がいる」と回答しています。
「 労 働環 境の 改善 」や「 輸 送効 率化 ・生 産性向 上 」に 向け た取 組
トラック事業者は、荷主と連携して新たな働き方を模索しつつ、物流サービスを維持
するために「労働環境の改善」や「輸送効率化・生産性向上」に取り組んでいかなけれ
ばなりません。
待機時間を削減するために、
「トラック予約システム」の導入を進める企業も増えてき
ましたが、その効果的な運用をはじめ、積載率の向上と適正な労働時間、休息期間の確
保が可能となるような「リードタイムの延長」
、手荷役作業を無くすための「パレット等
の導入」も、
「労働環境の改善」に向けて早急に取り組む必要がある課題です。
また、
「ダブル連結トラックの導入」、
「幹線輸送と集配輸送の分離」などの輸送効率化
に向けた取組も一部の事業者で進められています。全国農業協同組合連合会や秋田県ト
ラック協会などで、複数の産地の農産物を1か所に集約する「出荷と幹線輸送の分離」
の取組を進めていますが、出荷場所の集約だけでなく、大都市への車両流入抑制の観点
から、大都市近郊にまとめてパレットで荷下ろしできる施設(ストックポイント)の本
格的な整備が望まれるところです。
関 係 者へ の周 知と 理解
ドライバーの働き方改革は、
時間外労働だけではありません。ドライバーの拘束時間、
休息期間、運転時間などを規定した「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」
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