令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (207 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
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トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会
トラック運送業における取引環境の改善及び長時間労働の抑制を実現するための具体的な
環境整備等を図ることを目的として、平成 27 年度に「トラック輸送における取引環境・労働
時間改善協議会」(以下「トラック協議会」という。)を中央と各都道府県に設置した。ト
ラック協議会は、学識経験者、荷主、トラック運送事業者、経済団体、労働者団体、行政(厚
生労働省、国土交通省等)などにより構成され、取引環境の改善及び長時間労働の抑制に向
けた議論を進めている。
平成 28、29 年度の2年にわたり、全ての都道府県において実施したパイロット事業(実証
実験)では、貨物の発送を依頼する荷主(発荷主)・トラック運送事業者・貨物を受け取る
荷主(着荷主)などの一連の物流に関わる企業が協力し、コンサルタントのアドバイスの下、
第
の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」として取りまとめ、サプ
4
章
トラック運転者の労働時間短縮等に取り組み、そこから得られた知見を「荷主と運送事業者
ライチェーンの関係者に幅広く周知するとともに、トラック協議会での議論に活用している。
へ助言することを目的としてトラック協議会の下に設置された「トラック運送業の適正運
第
過労死等の防止のための対策の実施状況
加えて、平成 28 年7月に、適正な運賃・料金の収受に係る論点を整理し、トラック協議会
4
賃・料金検討会」
(学識経験者と行政(厚生労働省、国土交通省、経済産業省、農林水産省)、
章
オブザーバーとして経済団体や事業者団体)において、トラック運送事業者に対する実態調
過
労
死
等
の
防
止
の
た
め
の
対
策
の
実
施
状
況
査が実施された。この実態調査の結果、回答のあった 545 件のうち、2~3割の事業者で、
附帯業務(荷の仕分けなど)に対する料金や高速道路利用料などの費用を十分に収受できて
いないことが明らかとなった。このことを踏まえ、運送の対価である運賃と運送以外の役務
の対価である料金を別建てで収受する環境を整備するため、平成 29 年8月に標準貨物自動車
運送約款(平成2年 11 月 22 日運輸省告示第 575 号)等の改正を行った(平成 29 年 11 月4
日施行)。引き続きトラック運送業の持続可能な事業運営及び運転者の確保・育成、生産性
向上を図っていくため、適正な運賃・料金の収受について、トラック事業者と荷主の双方の
理解の形成を促すための対策や環境整備のための方策等について検討を行うこととしている。
このようにトラック協議会では、取引環境の改善と長時間労働の抑制について、総合的に
取り組んでいる。平成 30 年度には、引き続きトラック運転者の労働時間改善に取り組む荷主
及びトラック運送事業者に対し専門家がアドバイスを行うコンサルティング事業を実施し、
令和元年度には、荷待ち時間が特に長い輸送分野(加工食品、紙・パルプ、建設資材)につ
いて、課題の整理や改善策の検討等を進めるとともに、実態の更なる把握・分析のための調
査や、課題解決に資する試験的な取組(アドバンス事業)を実施し、成果として令和2年5
月に各輸送品目について「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向
けたガイドライン注 12)」を取りまとめた。
令和3年度には、これら各輸送品目別ガイドラインを周知普及させるため、主に荷主企業
やトラック事業者を対象としたガイドラインセミナーをオンラインにて計4回開催した。
令和4年度には、上記改善基準告示の改正内容や、中小企業等の価格転嫁と賃金引上げ環
境の整備を目的とした「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケー
ジ」(令和3年 12 月 27 日閣議了解)に基づく各種取組等について、関係省庁から広く周知
及び理解と協力を呼びかけた。
注 12)ガイドラインのうち「加工食品物流編」については、令和3年4月「加工食品、飲料・酒物流編」に改訂
した。
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