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令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (265 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf
出典情報 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》
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理解を深めることができるよう、これまでの成果を踏まえて具体的な改善策を講じて
いくことが必要である。
(3)職場の関係者に対する啓発
過労死等は主として職場において発生するものであることから、その防止のために
は、一般的な啓発に加えて、管理監督者等職場の関係者に対する啓発が極めて重要で
ある。特に、それぞれの職場を実際に管理する立場にある上司に対する啓発や、若い
年齢層の労働者が労働条件に関する理解を深めるための啓発も重要である。一方で、
令和2年版白書において、自殺事案に占める管理的職業従事者の割合が精神障害事案
全体に占める割合よりも高いと報告されていることにも留意が必要である。
また、平成29年版白書においては、
「労働時間を正確に把握すること」及び「残業
手当を全額支給すること」が、
「残業時間の減少」、
「年次有給休暇の取得日数の増加」、

資料編

「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆されており、労働基準や労働
安全衛生に関する法令の遵守が重要であることから、関係法令の規定や関連する事業
主が講ずべき措置、指針及び関係通達の内容とその趣旨に対する理解の促進及びその
遵守のための啓発指導を行う必要がある。
さらに、過労死等の主な原因の一つである長時間労働の削減や、賃金不払残業の解
消、年次有給休暇の取得促進のためには、単に法令を遵守するだけではなく、長時間
労働が生じている職場においては、人員の増員や業務量の見直し、マネジメントの在
り方及び常態的な長時間労働を是認するような企業文化や職場風土等を見直していく
ことが必要であり、これまでの働き方を改め、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・
バランス)のとれた働き方ができる職場環境づくりを進める必要がある。このため、
各職場において、これまでの労働慣行が長時間労働を前提としているのであれば、企
業文化等の見直しを含め、それを変え、定時退社や年次有給休暇の取得促進等、それ
ぞれの実情に応じた積極的な取組が行われるよう働きかけていくことが必要である。
また、先進的な取組事例を広く周知するとともに、このような積極的な取組は企業価
値を高めること、反対に、過労死等を発生させた場合にはその価値を下げることにつ
ながり得ることを啓発することも必要である。
さらに、過労死等を発生させた事業場に対しては、労働基準監督署において監督指
導等を実施し、当該疾病の原因究明、再発防止対策の確立及び対策の徹底を指導する。
その一方で、過重労働対策やメンタルヘルス対策に取り組んでいる企業が社会的に
評価されるよう、そのような企業を広く周知することが必要である。
長時間労働が生じている背景には、様々な商慣行が存在し、個々の企業における労
使による対応のみでは改善に至らない場合もある。このため、これらの諸要因につい
て、取引先や消費者等関係者に対する問題提起等により、個々の企業における労使を
超えた改善に取り組む気運を社会的に醸成していくことが必要である。
なお、1の調査研究等の成果を踏まえ、職種・業種等ごとに重点をおいた啓発を行
うことが必要である。
3 相談体制の整備等の基本的考え方
事業場において、長時間労働やメンタルヘルス不調等により過労死等のリスクが高
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