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令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (247 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf
出典情報 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》
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令和4(2022)年 11 月から 12 月にかけての中東カタールにおけるサッカーワールド
カップは、
4年に一度開催される国際的スポーツイベントとして、
ほぼ全世界の国の人々
がテレビやインターネットに釘付けになりました。
しかしながら、その世界的な熱狂の陰で、労働を原因として尊い人命が奪われた疑い
のあることが、国際人権NGOなどの発表により明らかにされています。7か所のスタ
ジアムと空港の建設、公共交通機関の大幅拡張などの工事の過程で、カタールに出稼ぎ
に来ていた外国人労働者が多数死亡したことが国際的な社会問題となっています。死因
は、ワールドカップに向けたインフラ建設での労働の可能性が高いです。カタールの暑
い季節は5月から9月と5か月に及び、最も暑い7月の平均最高気温は 41℃、最低気温


は 31℃に達し、国際人権NGOなどから、酷暑での長時間労働が死亡の原因であると指
摘されています。母国に残された遺族は、家計の大黒柱を失い、経済的に困窮し、失意

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のどん底に置かれているとの報告が出されています。具体的事例として、①トラック運
死した、②砂漠でのプロジェクトで配管工として働いていた男性が急死した、③空港の





警備員が、炎天下での長時間勤務中に死亡した、等の報告があります。



ディーセントワークの実現とは程遠い過重労働の実態があった可能性が高いです。




















日本でも東京五輪開催のための競技場建設工事の過程で、青年技術者が死亡し、労災
と認定されるなど、過重労働や違法残業などの事実が明らかになりました。今後も世界
万博など、国際的なイベントが予定されており、これらの準備のために働く者のいのち
と健康が犠牲とならぬよう、細心の注意をはらうことが求められます。
過労死弁護団全国連絡会議は、令和4年 12 月1日に『KAROSHI』国際版を出
版しました(英語版と同時に日本語版も出版しています)。国際版の出版は平成3(1991)
年以来です。本書では、日本における過労死の実態を明らかにしつつ、その法律的・医
学的分析等を行い、改革への提言を世界に発信しました。
当弁護団としては、世界の人々と協力・連携し、内外の過労死をなくす取組を強化し
ていく所存です。
(過労死弁護団全国連絡会議

過労死等の防止のための対策の実施状況

転手の男性は、1日 12 時間から 13 時間働き、部屋のエアコンが故障していたところ急

代表幹事 川人 博)

コラム19 各分野・各地の家族の会
公 務 災害 分野 の取 組
全国過労死を考える家族の会には、公務により被災された方やその遺族も多くいらっ
しゃいます。
公務災害に係る申請手続等が分かりづらかったり、申請・認定には時間もかかったり
するため、会員同士での情報共有や協力が欠かせないところ、令和3(2021)年、家族
の会の中に公務部会が発足しました。

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