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令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (196 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf
出典情報 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》
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会社の取組として特に特徴的なのが、メンタルヘルス施策として全社員を対象とした
産業医や保健師による健康面談や、管理職向けのさまざまな研修を実施していることだ。
人事部長はメンタルヘルス対策に注力した経緯について、
「健康経営を始める直前に社長
が全社に向けて出したメッセージの中に、
『心身の健康は大切。健康上の問題を抱えてい
るなど、仕事か自分の健康かのどちらかを選ばなければいけないような場面があれば、
自分の健康を優先しなさい』というものがあり、社員が健康で、幸せでいることが大切。
メンタルヘルス対策も重要。当然、長時間労働の解消を始めとする働き方改革も加速さ
せるということです」と説明する。
メンタルヘルス施策として、まず全社員を対象とした健康面談を実施した。平成 29 年


のスタート時は、本社勤務の 39 歳以下の若手社員を対象に、産業医と約 15 分面談し、健
康診断の結果を見せながら、職場での勤務状況、家族や生活の状況などを聞いていった。

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常勤の産業医である健康管理センター長は「全員面談は個別の事情によって話が長く

過労死等の防止のための対策の実施状況

なる社員もいるため、時に時間と手間がかかるが、産業医の立場で言えば大変価値があ
ると考えている。産業医や保健スタッフが、産業保健の立場で考えるときに、社員1人





1人と直接会って、体調や生活、業務や職場の状況、業務歴等を聞き取れることは非常



に重要。過労の防止という観点でも、社員それぞれにとって注意すべき点が、労働時間




















なのか、仕事の分量や質の問題なのか、社員のライフステージに合わせたライフワーク
バランスの問題なのか、など多方面にわたる。そのため、各社員や一緒に寄り添う産業
保健スタッフが、状況整理や必要な対応を考える意味でも、全員面談は確実に意味があ
る」と評価する。
人事部長も「産業医に呼ばれるというと、メ
タボや血圧が高いとか、がん検診に引っかかっ
たとか不安になるが、全員が平等に呼ばれると
いうことだと安心してもらえる。健康診断の結
果で何か気になることや、健康の話だけでなく、
仕事や生活のことなど何でも気軽に相談できる
窓口が社内にあることを知ってもらえます」と
意義を感じている。

<「気軽に相談に乗ります」という健康管理セン
ター長>

国内外に支店や営業拠点が多数ある同社では、職場ごとに全員面談を進めており、本
社勤務者については2巡目に入っている。国内の支店など本社外の職場には、産業医ら
医療職のスタッフが巡回して面談を実施しており、1回当たりの時間を長くして、細か
い状況把握に努め、個別対応が必要な事案が出た場合にはその都度医療スタッフを派遣
している。さらに海外勤務者の場合は、社内ルールとして毎年実施している健康診断の
結果が出た後に、リモートで全員必ず面談を実施している。さらに、赴任時と帰任時に
必ず法定の健康診断とセットで面談を実施して、抜け漏れがないようにしている。
さらに、法令に基づくストレスチェックも実施しており、令和3年までに全社員の 80
~85%程度が受検し、そのうち高ストレスの判定者は 10~13%で推移している。なお、
高ストレス者には、システムから自動的に産業医による面接指導の案内が通知される。
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