令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (262 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
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析に当たっては、労災請求等を行ったものの労災又は公務災害と認定されなかった事
案も含めて分析するとともに、年齢別・性別の発生状況に応じた対応を検討する必要
がある。
また、被雇用者・勤め人の自殺者のうち勤務問題を原因・動機の一つとする自殺者
数は遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できるものに限られるものであ
り、精神障害により死亡したとする労災請求件数と比べて大きな差を生じ、これらの
差の部分について、遺族等が労災請求をためらっているという意見もあるが、詳細な
統計がないこともあり、分析が十分とはいえない。
啓発については、11月の過労死等防止啓発月間における集中的な周知啓発活動や、
全国での過労死等防止対策推進シンポジウムの開催等、教育活動を通じた若年者への
啓発により取組を進めていくことが重要である。
資料編
過労死等を発生させる一つの原因は長時間労働であるが、労働時間については、平
均的な労働者ではなく、特に長時間就労する労働者に着目して、その労働時間の短縮
と年次有給休暇の取得を促進するための対策が必要である。また、労働時間の把握が
様々な対策の前提になることから、その把握を客観的に行うよう、より一層啓発する
必要がある。
メンタルヘルスについては、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み又はストレス
を感じている労働者の割合が半数を超えていることや、令和2年版白書において、精
神障害の発病から短期間で自殺につながった事案が多かったことが報告されているこ
とを踏まえ、事業場における取組を進めるとともに、労働者が相談しやすい環境の整
備が必要である。
また、労働者のメンタルヘルスの不調の原因にもなり得る職場内でのハラスメント
の防止に向けた取組を進めることが重要であり、顧客等からの著しい迷惑行為(いわ
ゆるカスタマーハラスメント)に関しても周知・啓発の取組を行うことが必要である。
これらの課題に対応する過労死等防止のための対策が、企業の規模にかかわらず実
施されるよう取組を進める必要がある。
第2 過労死等の防止のための対策の基本的考え方
法第7条に基づいて、初めて大綱を策定してから6年が経過したが、過労死等の件数
は近年高止まりの状況にある。この間の調査研究等により、一定の必要な取組が明らか
になっていることから、国、地方公共団体、事業主等の関係者の相互の密接な連携の下、
過労死ゼロに向けた取組を進めていく必要がある。また、過労死等が多く発生している
又は長時間労働が多いとの指摘がある職種・業種の調査研究が一巡したことから、調査
研究の成果から実効性のある過労死等防止対策につなげるとともに、その結果を検証し、
フィードバックして、より高度な調査研究を進めることによって、過労死を発生させな
いための更なる対策を講じていく必要がある。
これらを踏まえ、
「調査研究等」
、
「啓発」、
「相談体制」
、
「民間団体の活動支援」のそれ
ぞれについて、これまでの実績や成果を検証するとともに、なお不十分な点や必要な事
柄を明らかにし、今後3年間における過労死等の防止のための対策に活かしていくもの
とする。
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