令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (263 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf |
出典情報 | 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》 |
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行政機関等における対策」に反映させ、労働行政機関等の効果的な過労死等防止対策を着
実に推進していくことが必要である。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響で、行政においてもデジタル化への対応がよ
り一層求められている。行政のデジタル化は、従来、直接出向くことにより対面で実施
していた業務もオンラインで取り組むことができ、事業者等の利用者の利便性の向上や
行政の効率化の観点だけでなく、利用者と行政双方の時間短縮にもつながるものであり、
長時間労働削減の観点からも、推し進めていく必要がある。
一方で、デジタル技術を活用した働き方であるテレワークについては、業務に関する
指示や報告が時間帯にかかわらず行われやすくなり、労働者の仕事と生活の時間の区別
が曖昧となり、労働者の生活時間帯の確保に支障が生ずるおそれがあることにも留意す
る必要がある。このような点にかんがみ長時間労働による健康障害防止を図ることが求
資料編
められている。
1 調査研究等の基本的考え方
過労死等の実態の解明のためには、疲労の蓄積や心理的負荷の直接の原因となる労働
時間や職場環境だけでなく、不規則勤務、交替制勤務、深夜労働、出張の多い業務、精
神的緊張の強い業務、その他の心理的負荷となる業務上の出来事といった要因のほか、
その背景となる企業の経営状態や短納期発注を含めた様々な商取引上の慣行等の業界を
取り巻く環境、労働者の属性や職場の労働者間の人間関係、睡眠・家事も含めた生活時
間、職場以外の人間関係等の労働者側の個人的な状況等、複雑で多岐にわたる要因及び
それらの関連性を分析していく必要がある。このため、医学分野や労働・社会分野から
の視点を中心に、労働科学、産業疲労等の関連する知見にも留意し、国、地方公共団体、
事業主、労働組合、民間団体等の協力のもと、多角的、学際的な視点から実態解明のた
めの調査研究等を進めていくことが必要である。
また、新型コロナウイルス感染症の影響下における労働時間等の状況の把握を行うと
ともに、感染拡大を契機として活用が進んだテレワークやウェブ会議等のオンライン活
用等における影響、先端技術の進展に伴う影響等にも目を向ける必要がある。
なお、過労死等の調査研究等は、労働・社会分野及び医学分野から実施しているが、
業務における過重な負荷による就業者の脳血管疾患、心疾患等の状況が労災補償状況等
からは十分把握されていないことを踏まえ、労働・社会分野の調査において、労働者の
みならずフリーランスを含む自営業者や法人の役員も対象としてきており、今後も自営
業者等一定の事業主のほか、副業・兼業を行う者も含め、広く対象とする。
医学分野の調査研究では、職域コホート研究、介入研究、実験研究等、長期的な視点
で行うものも含め、過労死等の危険因子やそれと疾患との関連の解明、効果的な予防対
策に資する研究を継続的に行うことが必要である。
これらの調査研究の成果を踏まえ、過労死等の防止のための健康管理の在り方につい
て検討することが必要である。また、これらの調査研究が科学的・倫理的に適切に行わ
れるよう、外部専門家による評価を受けるようにすることが必要である。
労働・社会分野の調査研究では、平成27年度から6年間で、全業種の企業及び労働
者を対象としたアンケート調査や、過労死等が多く発生しているとの指摘がある職種・
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