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令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (172 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf
出典情報 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》
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(これまでの主な分析)
本研究では、過労死等のリスク要因である長時間労働が、心血管系反応に及ぼす影響を明
らかにし、心血管系負担の軽減策を検討するための基礎データを蓄積している。
第二期(平成 30~令和2年度)の研究では、第一期(平成 27~29 年度)の研究結果を踏
まえ、長時間労働における循環器負担の軽減対策を検討するために、1) 加齢の影響、2)
短時間睡眠の影響、3) 長めの休憩のタイミングの影響、を分析した。その主な結果は、次
のとおりであった。
1) 加齢の影響について、模擬長時間労働時の血行動態反応を比較した結果、30歳代と比
べ、50歳代と 60歳代の作業中の収縮期血圧が有意に高かった。
2) 短時間睡眠の影響について、5時間睡眠条件と7時間睡眠条件後の模擬長時間労働時


の血行動態及び心理反応を比較した結果、短時間睡眠によって一回拍出量の増加や総
末梢血管抵抗の低下、眠気、疲労、ストレスの悪化が見られたが、短時間睡眠が模擬

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長時間労働の反応をさらに増悪するような交互作用は見られなかった。

過労死等の防止のための対策の実施状況

3)



50分以上の長めの休憩は心血管系の負担を軽減し、夕方に長めの休憩を設けることが
好ましいことが判明した。

























労働者の体力を簡便に測定するための指標開発
過労死等(特に脳・心臓疾患)の発生には、ヒトの体力(心肺持久力)が深く関わってい

ると考えられる。職場の健康診断等で労働者の体力を適切に評価し、長期的にモニタリング
することは、過労死等の予防に有用であることから、労働者の体力を簡便かつ安全に評価で
きる検査手法の開発を目的とした実験を行うこととした。
具体的には、心肺持久力の代表的な評価指標とされる最大酸素摂取量を基準とした上で、
検査手法を開発し、その妥当性を検討する実験を行う。また、開発した検査手法による体力
評価を上述の職域コホート研究に一部組み入れることにより、労働者の体力と脳・心臓疾患
発症やその要因となる過重な労働等との関係を明らかにする。
平成 27 年度から平成 29 年度までは関連する先行研究の調査や実験計画の決定等を経て、
100人程の被験者を対象とした実験を行い、体力を簡便かつ安全に評価できる手法を開発した。
平成 30 年度以降は、開発した当該手法の職場への応用のための検証等を行っており、その結
果を踏まえ、引き続き、簡易体力検査、質問紙、ウェアラブル測定機器等の安価で簡易な手
法を組み合わせて、より簡便で正確な体力評価指標を得るための改良を続けている。

コラム4 トラックドライバーの不規則勤務に切り込む
~問題点の抽出から解決までの展望~
自動車運転従事者は、連続的な注意と集中を要することや時間的制約による精神的緊
張、長時間同じ姿勢となることや振動を受け続けるなどのため、他の職種に比べて脳・
心臓疾患のリスクが高いことが 1980 年代以降に国内外のいくつかの研究で報告されて
います。特に近年では、日本において道路貨物運送業の自動車運転従事者(トラックド
ライバー)で脳・心臓疾患による労災認定が多いことが知られています。
トラックドライバーの脳・心臓疾患の労災事案に係る調査復命書の解析では、脳・心
臓疾患の発症は「早朝出庫型(概ね午前2時から午前7時に出発する勤務)」の運行パタ
ーンに多いことが報告されています。そのためトラックドライバーには共通する働き
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