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首都直下地震等による東京の被害想定 報告書一式 (280 ページ)

公開元URL https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021571.html
出典情報 首都直下地震等による東京の被害想定(5/25)《東京都》
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1.4 火災による建物被害
地震発生直後
○ 地震による揺れや建物倒壊の影響で、住宅や事業所の火気・電気器具、燃料等から出火し、同時多
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1日後

数日後

○ 大規模な延焼火災により多数の建物が焼失す

○ 木造住宅密集市街地などを中心に、想定より

発火災が発生する 。

る。

も出火が増加すると、延焼が拡大し、約3日





区部西部や北部に存在する木造住宅密集

間断続的に燃え広がり、焼失棟数が想定以上

開口部(アミ入りガラス)が揺れて破損したり、隣棟の火災で破損すると、室内に火災が延焼

地域などを中心に、焼失する建物は、最大

に発生する可能性がある。

拡大し、建物内部が焼失する事態となる可能性がある。

で都内の建物数の4%に相当する約 12 万

○ 地震発生から数日後の復電(通電時の電気機

都内に多く立地する高層ビルでは、特に中高層階において揺れが増幅されるため、火気器具・

棟に達する。多摩地域においても、東部を

器や電気配線のショート等)による通電火災

調理中の油漏れ等による出火が発生する可能性がある13。

中心に約1万棟が焼失する。

や不審火等による火災が発生する可能性があ

火災旋風が発生した場合や、強風下にお

る16 17。

ーが故障すると、初期消火を行うことができず、火災が拡大する可能性がある14。

いて地震が発生した場合の飛び火による



高層階において初期消火に失敗し、火災が拡大した場合は、消火活動が困難なことから建物内

延焼拡大など、想定以上の広域延焼被害

避難している場合は、不在建物からの出

の火災が継続し、膨大な人数の居住者や利用者が建物から出て地上に滞留する可能性がある。

が発生する可能性がある。

火に対する通報が遅れる可能性がある。





耐火造建物の場合、木造建物であっても、壁、柱、梁で延焼を抑止することは可能であるが、



高層階では、消防隊による消火活動が困難であるため、増幅された揺れにより、スプリンクラ



○ 木造住宅密集市街地等では、住民等による初期消火活動や消防活動により多くが消火されるが、未

路上の放置自動車、沿道家屋の倒壊、液



地域の住民が自宅等を離れ、避難所等に

周辺の道路の障害物が除去されていない

対応の箇所から出火、延焼し、消防隊の消火活動や焼け止まりによる鎮火まで、24 時間以上を要す

状化による道路支障、電柱の倒壊による

場合、消火活動の妨げとなり鎮火が遅れ

る。また、延焼火災が鎮火しても、数日後に停電していた地域から通電火災が発生する可能性があ

道路閉塞等により、消火活動が著しく阻

る可能性がある。

る。

害された場合には、消火困難な火災が増



え、被害が拡大する可能性がある。

断水の影響がある地域では、住民による消火栓・スタンドパイプを用いた初期消火が困難とな

○ 避難指示解除後に、避難場所から居住地に戻
り、自宅が焼失していたり、全壊していて利

る。

用できなくなっている被災者等が避難所にて



道路拡幅や建物の共同化・不燃化が進んだ地域では、最小限の延焼で焼け止まる。

生活することになる。



区部の木造住宅密集地域のみならず、多摩地域においても、住宅が密集している地域では数百
棟規模の延焼が拡大する可能性がある。

○ スプリンクラー等の消火設備がない一般の集合住宅では、耐火造であっても多数の火災が発生する
可能性があり、居住者らによる初期消火ができない場合は住戸全体に延焼する。
○ 東京湾沿岸部に多く立地する石油タンク等から、可燃性物質の漏洩などによる出火や延焼が発生す
る可能性がある。石油等の可燃性の液体が海上に流出すると、海上での火災も発生する可能性があ
る15。
○ 歴史的な街並みや、指定文化財等の建造物が焼失する。


博物館・美術館、個人宅等で保管されている絵画・彫刻・古文書等の文化財が、火災により焼
失する可能性がある。

○ 延焼拡大地域では、指定されている避難場所への避難指示が発令され、コミュニティで助け合いな
がら、早めに避難を開始するように呼びかけられる。


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避難指示が解除されるまでに 24 時間~36 時間ほどを要する可能性もある。

都心南部直下地震においては、冬・夕に約 600 件の炎上出火となり、阪神・淡路大震災と同様であれば、そのうちの3割、
約 180 件の出火が地震から 15 分間に発生し、その後2時間に2割、120 件の火災が発生する同時多発火災となる。
東日本大震災の際、東京消防庁管内で覚知された火災は 32 件で、そのうち 27 件が電気を原因とする出火で、5階以上の中
高層階での出火が過半を占めた。
東日本大震災の際、大阪市住之江区にある大阪府咲洲(さきしま)庁舎(高さ 256m)において、51 階の消火用スプリンク
ラーが破損し床面が水浸しになった。
平成 15 年(2003 年)十勝沖地震の際、震源から約 250km 離れた苫小牧市の石油コンビナートで、スロッシング(石油タン

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ク内の石油が揺動する現象)に起因する火災が発生した。東日本大震災の際、岩手県久慈市、宮城県多賀城市、七ヶ浜町、
仙台市において石油の流出、津波後に発生した火災による屋外タンク貯蔵所等の焼損があった。なお、火災により隣接する
高圧ガス施設が爆発する危険があったため、付近住民に対して避難指示が出された。
阪神・淡路大震災において、避難中の留守宅などで送電回復に伴い火災が発生した。
感震ブレーカーを設置した建物では、感震ブレーカーが正常に作動することにより電気が遮断され、電気器具からの出火が
抑制される。

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