よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


首都直下地震等による東京の被害想定 報告書一式 (321 ページ)

公開元URL https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021571.html
出典情報 首都直下地震等による東京の被害想定(5/25)《東京都》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。



経済被害

6.4 地域コミュニティ関係

7.1 社会経済活動への影響

○ 地域と学校のつながりが強く、日頃から防災訓練等を行っている地域では、救出救助活動、避難所

○ 経済被害額(直接被害のみの額)は、都心南部直下地震が最大で、総額約 22 兆円となる。

内のスペースの配分や、物資の配布等が円滑に行われる。


新住民が多いなど、住民同士のつながりが希薄な地域では、地震発生直後、助け合いが進まず、
救助活動が遅れたり、避難所の運営や物資の配分等が混乱したりするほか、地域の要配慮者へ



続が困難となる。
○ 大企業では、BCP の作成や備蓄など当面の事業継続を確保するための体制の整備が進んでいる一方、

の支援が不十分になる。

中小企業においてはこうした準備が十分できていないところも多く、発災後に事業継続が困難なケ

避難行動要支援者に対する個別避難計画の策定が遅れている地域では、災害時の避難先等の調

ースが多数発生する可能性が高い。

整が難航し、支援が遅れる可能性がある。

 個人経営の商店や町工場等、中小・零細企業は、店舗や工場等の喪失、主要な利用客の被災や転

○ 町会・自治会等の地域コミュニティの担い手不足により、災害時の救助活動や避難所運営等の継続
が困難となる。また、担い手の高齢化が進んでいる地域では、担い手となる高齢者が、災害時に過
労等により体調を崩し、震災関連死に至る可能性がある。
○ 仮設住宅への入居等に伴い、従前のコミュニティが分断され、生活再建やまちの復興にとって重要
な住民同士のつながりが弱くなる。また、地域の文化・スポーツ活動など、日頃の生きがいを失う
可能性がある。


○ 電力や通信機能が途絶することにより、非常用電源や燃料が確保されていない企業・工場は事業継

単身高齢者等へ、見回りや声掛けなど必要な支援が届けられない場合、孤独死につながるおそ
れがある。

居による減少、取引先の被災や事業縮小・変更に伴う受注額減少等により、倒産する事業者も多
くなる。
 企業が事業を停止し、又は縮小した場合、取引先となっている企業の事業にも影響が生じる可能
性がある。
 鉄道の運行停止、停電や道路の被災により、従業員の出勤や就労が困難な状況が継続する可能性
がある。大企業においても、都内の本社等に重要な機能が集中している場合は、従業員の出勤困
難及び事業活動上の移動等が困難となり、大きな影響を受ける。
○ 都内に本社が立地する企業の中には、本社機能が停止し、企業全体の事業活動が停滞して倒産等の
危機に至る可能性がある。都内の企業が被災した影響で、取引先となっている被災地外の企業にも

○ 膨大な数のボランティアが全国から応援に駆け付け、地域活動の支援を行う。
 行政や社会福祉協議会、ボランティア関係団体の連携が円滑に行われない場合、ボランティアの
受入れに混乱や支障が生じる。ボランティアの希望者が多数おり、支援ニーズもあるにもかかわ
90

らず、受入れや活動が遅れたりする状況が発生する 。
○ 被災者への支援を騙る地域外の人や団体等による詐欺、窃盗などの犯罪が発生する。

損失が生じ、国内全体の事業収益の低下につながる可能性がある。
○ 都内において日本国内の事業を展開していた海外企業が、被災後に日本から撤退する事態等が多数
発生すると、日本国内での企業活動に対する国際的な評価が低下する可能性がある。
○ 東京証券取引所の売買が一時停止する可能性がある。また、証券会社の売買への参加状況によって
は、公正性の観点から売買を停止する可能性がある。
○ 卸売・飲食・小売業等では、受発注や代金決済等に係るデータ管理機能や支払い等の金融機能が停
止すると、業務が停滞し、消費者に商品が届かなくなる可能性がある。一部の小売事業者では、店
舗やその他の施設・設備の耐震化等が不十分な場合もある。
 卸売市場等の被災や、それに伴う代替拠点への迂回コスト、渋滞等による輸送効率の低下等の要
因により、商品価格が上昇する可能性がある。
 スーパーやコンビニ等では、店舗が営業可能な状態であっても、従業員やパートタイマー・アル
バイト等の職員が、鉄道で通勤できず、十分に営業できなくなる可能性がある。
 通信販売を主体とする小売事業者の場合、配送を担う運送事業者の被災状況や、緊急物資輸送等
への対応状況、道路の渋滞等の状況により、商品の調達や配送が遅れる可能性がある。
○ 石油化学工業や製鉄業では、原油や石炭、鉄鉱石等を扱う工場等の生産拠点では、これらを扱う港
湾が被災した場合、原料が入手できなくなる。
○ 観光・レジャー産業では、観光地としてのシンボルであった建造物が倒壊・焼失したり、庭園等の
地盤の隆起・沈降や倒木等で利用できない状態が継続し、観光客数が回復しない可能性がある。
○ 港湾機能が低下し、陸上輸送も制約されて、物流が停滞すると、二次・三次産業活動も停滞する。
○ 倒産や、事業縮小等により、従業員が解雇されるケースが増加し、都内で失業者が増加する。
○ 被災者等が一時待機や解雇などにより、収入を確保できず、社会経済活動が停滞する可能性もある。

90

平成 28 年熊本地震においても、ボランティア希望者が多数おり、支援ニーズがあったにもかかわらず、受入体制が十分で
なく対応しきれなかった事例がみられた。

5-94

5-95