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首都直下地震等による東京の被害想定 報告書一式 (287 ページ)

公開元URL https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021571.html
出典情報 首都直下地震等による東京の被害想定(5/25)《東京都》
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2.4 火災による人的被害
地震発生直後

1日後

○ 都心南部直下地震では、冬の夕方、風速8m/s において発生した場合が最大で、出火現場からの逃

○ 大規模な延焼が発生した場合、鎮火するまでの数日間は、救助隊が延焼エリアに近づくことができ

げ遅れや、倒壊家屋内での閉じ込め、避難中の延焼への巻き込まれ等により、都内で最大約 2,500

ず、救出救助活動が困難となる。

名の死者、約1万人の負傷者が発生する。





延焼地域の住民が、火災のために避難場所から避難所へ移動できず、避難場所に留まらざるを

出火や延焼の被害の分布に応じて、木造住宅密集地域などを中心に被害が大きくなる。冬・夕

得なくなるおそれがあるが、避難場所には飲食料等の備蓄がないため、滞在し続けることが困

方の発災時においては、火災による死傷者の多い上位7区だけで、死者が最大で約 1,800 人

難となる。

(72%)
、負傷者が約 7,800 人(78%)発生し、全体の死傷者数の約8割に相当する。


初期消火を行っていた住民が、火災に巻き込まれる可能性がある。



イベント開催中のホール、体育館など、特に多数の人が集まる場所に延焼が広がった場合や、
道路閉塞等によって避難困難になる者が多数発生した場合に、被害がさらに拡大する。



冬季の発災においては、降雨等に伴う著しい気温の低下が発生しやすく、避難場所に留まって
いる間に低体温症となり、死傷者が増加する可能性がある。



夏季の発災において、特に日中の避難場所は、日射しを避ける遮蔽物がない場合が多く、熱中
症になる避難者が多数発生する可能性がある。

○ 地下鉄や地下街で出火した場合、多くの人が火災に巻き込まれる。


特に、不特定多数の人が利用しているターミナル駅や商業施設などにおいて、防火設備・消防
用設備が十分に機能しなかった場合や、建物の高層階で出火した場合は、救出救助活動や避難
が困難になる。

○ 高齢者や障害者等の避難行動要支援者を中心に、逃げ遅れが発生する可能性がある。


都内で約 1,000 人程度が寝たきりで避難できずに火災に巻き込まれる可能性がある32。その
他、要介護認定者、障害者、難病患者、乳幼児、妊産婦等についても、避難が難しく被害に巻
き込まれるリスクが高い。

○ 強風下において地震が発生した場合、延焼が激しくなり、飛び火も発生することによって、想定以
上に広範囲に延焼被害が拡大し、死傷者がさらに増加する可能性がある。
○ 多くの人が集まる場所で火災旋風が発生した場合は、死傷者が大幅に増加する可能性がある。


火災旋風は、大規模な火災に伴って急激な上昇気流が発生し、台風のように強風を伴うことで
発生する。火災旋風の強風自体によって死傷者や避難困難者が発生33するほか、火の粉が飛ぶ
ことで出火して延焼拡大につながる可能性がある34。

○ 延焼エリアの多数の住民が、火災を避けるために避難場所へ避難するが、多くの住民が一斉に避難
を開始するため、路上が混雑し、避難途上での逃げまどいによる死傷者が増加する可能性がある。


避難場所に指定されていない小公園等に避難した場合や、あらかじめ指定された避難場所に避
難せず、小規模な避難場所に避難者が殺到して受入困難となり避難できなかった場合等には、
火災に巻き込まれ、多数の死傷者が発生する可能性がある。



町会や自治会等の地域コミュニティの活動が活発でない地域では、避難場所への誘導等を行う
人がおらず、混乱が拡大する可能性がある。

○ 東京湾沿岸等において、石油タンク等からの油漏れや出火、その他の発火性危険物質の漏洩等が発
生した場合、爆発や発火、有毒ガス等による被害を回避するために広範囲で避難が必要になった
り、被害により多数の死傷者が発生する可能性がある。

32
33
34

単身高齢者のうち約6%程度(約 4.4 万人)が寝たきりと考えられる。
関東大震災では火災旋風により、人も物も馬車まで吹き上げられて、その場にいたほとんどの人が死亡した。
動きが予測できない(移動する場合もあれば、長時間1箇所に留まる場合もある)点も、火災旋風の危険性のひとつであ
る。

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