首都直下地震等による東京の被害想定 報告書一式 (326 ページ)
出典
公開元URL | https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021571.html |
出典情報 | 首都直下地震等による東京の被害想定(5/25)《東京都》 |
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複合災害
9.1 浸水被害の拡大(高潮・河川氾濫)
9.2 火山噴火
○ 地震発生後に水害が発生するおそれがある場合は、地震動や液状化により堤防や護岸施設が破壊さ
○ 地震発生後に火山が噴火した場合、数 cm の降灰でも交通支障が発生し、救出救助活動や物資、燃料
れた箇所から、浸水被害が拡大する可能性があるため、高台等の安全な地域にある避難所等への避
の搬送、がれきの撤去などの応急対策や復旧作業が困難となる。航空機やヘリコプターの利用もで
難誘導が必要となる。
きなくなるため、負傷者等の搬送や全国からの応援職員等の移動も困難となる。
土砂災害警戒区域において、地震時に急傾斜地の崩壊、地すべり、土石流等が生じなかった場
○ 細かい火山灰を吸い込み、救急件数が増加する。
合でも、地盤の緩みやひび割れ等が生じている場合があり、特に、地震発生が梅雨期等であっ
○ 降灰後に降雨が発生した場合、変電所や送電網、配電網で碍子の閃絡104が発生し、停電被害が拡大
た場合、長雨や集中豪雨により、急傾斜地の崩壊等が発生する可能性が高まる。また、地震に
し、復旧までの期間が長期化する可能性がある。
よる急傾斜地の崩壊が、豪雨災害の被害を拡大させる可能性がある。
○ 停電による基地局機能の停止や、通信設備等への灰の詰まりや固着などによる機能停止等が発生し、
区部沿岸部では、河川敷等で一部浸水が生じるものの、大きな被害は想定されない。しかし、
通信途絶地域が拡大する可能性がある。
地震による津波と、高潮や河川の水位上昇が同時に発生した場合には、堤防からの越流による
○ 火山灰による原水の水質悪化などにより、浄水場の処理能力低下が発生した場合、断水被害が拡大
浸水被害が発生する可能性が高まる。
する可能性がある。
○ 水害発生後に地震が発生した場合には、強風や氾濫流などによって構造耐力が低下した建物が、地
○ 火山灰の流入による管路等の流下阻害や閉塞、停電によるポンプ場の機能低下により、下水道の機
震動により倒壊する可能性がある。また、強風によりブルーシートが吹き飛ばされ、一部損壊の家
能支障が拡大する可能性がある。
でも雨漏りによって家財等の被害が拡大する。さらに、水害により浸水した地域で、地震による火
○ 地震により半壊や一部損壊した建物や、構造の弱い建築物は、降灰厚が深くなった場合、降灰荷重
災が発生すると、自宅に留まっていた人が逃げられなくなったり、消火活動が行えなくなる可能性
により圧壊する。
がある。
○ 火山灰が除去される前に地震が発生すると、降灰荷重により建物被害が激甚化する可能性がある。
○ 梅雨期や台風シーズンなど降水量の多い時期に地震が発生した場合、雨水ポンプ場等の流下・排水
○ 屋根面積の大きな体育館等の建物が、降灰荷重により使用が危険となった場合、他の避難先に避難
施設が機能せず、避難所等を含む生活空間に浸水被害が発生する可能性がある。その場合、復旧が
させる必要があり、避難所が不足する。
長期化する可能性がある。
○ 火山灰の堆積した山間部では、地震による火山灰の滑落や、その後の降雨による泥流や土石流が発
○ 今後、気候変動に伴い台風や豪雨の激甚化・頻発化し、被害が増加する可能性がある103。
生する可能性がある。
9.3 感染症拡大
○ 地震災害によって多くの住民が避難する中で、インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症や、
ノロウイルス等の食中毒が発生した場合、避難者間で集団感染が発生する可能性がある。
○ 救出救助活動や避難者の受入等において感染防止対策が必要となり、活動に時間がかかる可能性が
ある。
○ 医療施設や医師・看護師等が、地震災害の救出救助活動に追われ、感染症への対応に手が回らなく
なる可能性がある。
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例えば、川崎ら(2016)は大阪港沿岸部を対象に、巨大地震後に台風が襲来した場合の浸水被害が台風の巨大化と海面上
昇によって拡大する可能性を示している。
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碍子は、電気が鉄塔や電柱等から地面に放電されることを防ぐ目的で設置されている。降雨等で湿った火山灰は電気を通
す性質を持つことがあり、碍子に火山灰が積もると、電気が碍子を通って放電する可能性がある。
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