首都直下地震等による東京の被害想定 報告書一式 (283 ページ)
出典
公開元URL | https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021571.html |
出典情報 | 首都直下地震等による東京の被害想定(5/25)《東京都》 |
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地震発生直後
1日後以降
○ 都内に多く立地する高層ビルでは、遠隔地で地震が発生し、地表の揺れが小さい場合でも、長周期
○ 築年数が古いビルなどにおいて、構造上の安全性が担保できない場合は、一時的な利用中止や屋外
地震動により、徐々に大きくゆっくりとした揺れになり、建物内の家具等、人に被害が発生する可
への退去、周辺の人々への注意喚起が必要となる。
能性がある18。
○ 技術者の不足により、ビルの安全確認が行えず、帰宅困難者用一時滞在施設としての提供など災害
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長周期地震動階級3 以上となる地域においては、概ね 14~15 階建以上の高層ビルにおい
時用の施設利用ができなくなる。
て、建物にもひび割れ等が発生する可能性がある。また、免震構造の建物においても大きくゆ
安全確認が行われていないビルの周辺では、復旧活動や生活再建に影響が生じる。
技術者の数が不足すると、すべてのビルの安全確認が終了するまでに1週間以上の期間が必要
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っくりと揺れ、ダンパーの破損やビルとピット壁 が衝突することにより損傷が発生する可能
性もある。
となる。
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上層階ではなく、中間の階で揺れが最大となる場合がある。また、長周期地震動階級2 の地
域であっても立っていることが困難になる等、行動に支障が生じる。
○ 築年数が古いなど、長周期地震動に対する十分な構造安全性を有していないビルでは、建物構造に
影響が発生する可能性がある。
免震構造建築物は、建設された時期や使用されている免震装置等によっては、通常の地震動に
対する効果はあっても、長周期地震動に対して十分な安全性を有しているかが、現在の科学的
知見では判断できないものも存在する。こうした建築物では、長周期地震動の大きさが許容量
を超えたり、エキスパンションジョイントが被害を受けるなどして、構造上の重大な被害が発
生する可能性がある。
○ 屋内の間仕切り壁や天井材、スプリンクラー、空調などが剥落するなどの被害が発生する22。
防火戸の開閉障害、階段室の壁の亀裂やはがれ、壁パネルの脱落、壁モルタルの剥離など軽微
な被害も発生する可能性がある23。
高層階では、消防隊による消火活動が困難であるため、増幅された揺れにより、自動消火装置
やスプリンクラー等の消火設備が機能しないと、火災が拡大する可能性がある。
○ 建物の構造に大きな被害が生じない場合であっても、特に中高層階では、背の高い家具類等の転倒
が発生する可能性が高い。
滑りやすい家具類やキャスター付きの事務機器等が、大きく移動し、人に衝突することで、さ
らなる死傷者が発生する可能性がある。
○ エレベーターが停止するため、中高層階からの避難や、負傷者の搬送、各フロアの被害確認等が困
難となる。
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地震動の卓越周期と建物の固有周期が一致した場合、揺れが大きく増幅する。
「長周期地震動階級」は、気象庁が、長周期地震動による揺れの大きさを4つの階級に区分して発表する情報。
「長周期地
震動階級3」の場合は、人が立っていることが困難であり、固定していない家具が移動したり、倒れたりする。
ダンパーとは、バネやゴムなどを用いて、衝撃や振動が伝わるのを弱めたり、静止させたりするための装置のこと。ピット
とは地下に設けた配管を通すための空間のことを言う。
「長周期地震動階級2」の場合は、物につかまらないと歩くことが難しく、棚から食器や本が落ちることがある。
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東日本大震災では、超高層建築物を含む多くの建物で、天井の部材や設置物等の非構造部材等に様々な被害が発生してい
る。
日本建築学会(2013)によれば、非構造部材等の被害として、加速度 100~350cm/s2 の揺れが生じた建物で間仕切り壁の割
れや天井落下、スプリンクラーの破損、防火戸の開閉障害などの発生が確認されている。これより小さな加速度 50~
150cm/s2 の揺れが生じた建物でも、階段室の壁の亀裂やはがれ、壁パネルの脱落、集合住宅の玄関脇の壁モルタルの軽微
な剥離などが発生したとしている。
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