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令和6年版 男女共同参画白書 (101 ページ)

公開元URL https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/pdfban.html
出典情報 令和6年版 男女共同参画白書(6/14)《内閣府》
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性すらある。一方で、業務負担増による、周

もが常に職場に出勤していることが前提と

囲の同僚の健康やモチベーションへの悪影響

なっており、自身の健康も家庭のこともあま

は、可能な限り減らす必要がある。

り心配しなくてよい男性に合わせたものと

一般的に、年齢が上がるにつれて、何らか
の不調や病気にかかるリスクは上昇する傾向

なっていたことから、代替要員は必要ないと
考えられていた。

人の年齢構成は変化しており、雇用側にとっ

務までを請け負うことが難しく、一たび誰か

ても、雇用者の健康管理が、今後ますます重

が欠けると、同僚に相当な負担が掛かる状況

要になってくる。

が発生する。あるいは、業務内容の共有や

第1節、第2節で確認してきたとおり、女

標準化が進んでいないため、休暇を取得した

性と男性とでは、健康課題は、その内容も課

分の業務の遅れを、その後に個人で取り返す

題を抱えやすい時期も同じではない。

必要が生じる。このことが、休暇の取りにく

女性の場合は、個人差は大きいものの、月

さや、不調を抱えながらも隠して我慢して働

経周期による月単位の不調のほか、妊娠・出

くという風潮の根源となっていたと考えられ

産期、更年期等のライフステージごとに、女

る。また、
「自分にしかできない業務がある」


性特有の健康課題に直面し、これらの課題は、

「他人には任せられない業務を担当している」

子育て期や仕事上のキャリア形成・キャリア

すなわち「代わりがいない」と考えることが、

アップの時期と重なることが多い。一方、男

社会における個人としての誇りであり、存在

性の場合は、一般的に女性と比べてキャリア

価値となっており、代わりの人でも対応でき

形成・キャリアアップの時期において健康課

るようにすることを阻んでいた可能性も考え

題に直面することは少なく、変化も緩やかで

られる。

ある。この男女の差異が、男性が多い職場に

そのような環境下では、働く女性が、業務

おいて、女性の健康課題についての認識が進

に支障が出るほどの月経に伴う不調を抱えて

まない一因となっている可能性がある。

いたとしても、あるいは、不妊治療と仕事の

「昭和モデル 」下においては、正規雇用労

両立、更年期に伴う健康課題と仕事との両

働者の多くは男性であり、会社に貢献するこ

立に困難を感じていたとしても、声を上げに

とが美徳とされ、長時間働き、会社の命に

くく、たとえ声を上げたとしても、周囲から

従って転勤することは当然であった。
「夫は

の理解を得られにくく、正規雇用労働者とし

外で働き、妻は家庭を守るべきである」とい

ての就業やキャリアアップを諦めざるを得な

う固定的性別役割分担意識があり、家事・育

かった可能性がある 。

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仕事と健康の両立~全ての人が希望に応じて活躍できる社会の実現に向けて~

そのような状況下では、個々人は他人の業

特集

にあるが、少子高齢化の進展によって、働く

36

児等や自身の健康管理を専業主婦である妻に

また、
「女性は弱い」

「頼りにできない」と

任せ、夫は仕事にまい進すべきという風潮が

の印象が形成され、キャリアアップの障害と

あった。この時代は、男性と同じ立場で働く

なることを恐れ、健康課題や「子供を産み育

女性が少なかったため、職場環境自体が、誰

てたい」という希望を隠しながら働かざるを

35 
「令和5年版男女共同参画白書 特集-新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために~職業観・家庭観が大きく
変化する中、「令和モデル」の実現に向けて~」の中で、

『男性は仕事』
『女性は家庭』という、いわゆるサラリーマンの夫と専
業主婦から成る家庭を前提とした制度、固定的な性別役割分担を前提とした長時間労働や転勤を当然とする雇用慣行等を『昭和
モデル』だとすると、職業観・家庭観が大きく変化する中、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会への変
革が実現した姿が『令和モデル』であると言える。」としている。
36 調査によると、月経に関わる不調による生活への支障が大きいほど、「健康課題による仕事への影響・支障」として、
「就いてい
た仕事を自ら辞めた(転職含む)」を挙げる者の割合が高いほか、「女性特有の健康課題に対して、職場にどのような配慮がある
と働きやすいと思うか」について、「生理休暇を取得しやすい環境の整備(有給化や管理職への周知徹底など)」や上司及び社員
全体の理解を挙げる者の割合が高くなっている。

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