令和6年版 男女共同参画白書 (104 ページ)
出典
公開元URL | https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/pdfban.html |
出典情報 | 令和6年版 男女共同参画白書(6/14)《内閣府》 |
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ためにも、産業医に継続的に相談できるなど、
て学校教育の保健体育でのみ扱われ、それ以
産業医等の一層の活用が望まれる。また、働
降の情報のアップデートが行われていない場
く女性にとって、産婦人科が身近な存在にな
合が多く、また、女性自身も本人の経験のみ
ることは、女性特有の健康課題に関して相談
に基づく知識に限定されている場合が多い。
できるようになり、働きやすさにつながると
働く女性が増加した現在、改めて、職場にお
ともに、妊娠等に対する正しい知識の習得に
ける男女の健康課題に関する研修等の実施
つながり、自らの希望するタイミングでの妊
と、雇用する側・雇用される側双方の積極的
娠・出産の可能性を高めることができる。こ
な受講が求められる。また、研修等の際に情
のことは、ひいては少子化対策にもつながる。
報交換の場を設け、悩みを共有することで心
4つ目は、休暇の在り方である。労働者一
の負担が軽減されることもある 。
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人平均年次有給休暇取得率は、令和5(2023)
2つ目は、健康診断等の受診に対する支援
年時点で 62.1%となっているが、業種によっ
である。健康診断等を通じて、自分自身の健
て差があり 、多くの労働者がいまだに年次有
康状態について認識し、早めの対処を行うこ
給休暇を十分に取得できていないと感じてい
とは、自身のウェルビーイングにもつながる。
る 。
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雇用側には、健康診断等を受診できるよう、
また、女性特有の症状のうち、月経時の不
積極的なサポート等が求められる。また、第
調に対して、我が国では「生理休暇」 の制度
1節で確認したとおり、正規雇用労働者の健
があるが、取得率は極めて低くなっている 。
康診断等受診率は男女ともに9割となってい
「
『生理休暇』を申請することは、自らの月経
るが、非正規雇用労働者では6~9割、無業
周期を明かすことになるため、言い出しにく
者では2~6割となっており、職場や学校に
い」という声があるほか、女性のみに付与さ
よる健康診断等の受診機会の提供が無いケー
れた休暇であるため、男性が多い職場ではな
スへの対処が課題となっている 。
おさら取得しにくい、
「生理休暇」は必ずし
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3つ目は、健康に関する相談先の確保であ
も有給ではないため、年次有給休暇が優先し
る。男女ともに自身の健康について認識し、
て使用されているなどの理由があるものと推
気軽に相談できる相談先が必要である。その
察される 。
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44 職場でほかにも同じような悩みを持つ人がいることが分かり、悩みを話せるだけでも安心できるという声もある。直接解決に結
びつかなくても、悩みを共有でき、情報交換できる機会があることで心の負担が軽くなることもある(労働者健康安全機構・関
東労災病院産婦人科働く女性専門外来 星野寛美氏へのヒアリングより)。
45 更年期障害だと思っていたら、健診の結果、実は貧血だった、婦人科系の病気だった。ということもある。全ての国民が、健康
診断やがん検診を受診しやすい環境の整備が必要である(同上 星野寛美氏へのヒアリングより)。
46 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
、
「体調不良の時に仕事
47 個別インタビューでは、「仕事を休みたくてもフォロー体制が無く、休んだ分だけ仕事が溜まっていく」
を代われる人がいないから、休むことができず、我慢して働いている」、「休暇制度をいくら作っても、実際に休めないのでは意
味がない。まずは仕事のやり方の見直しを行い、今ある有給休暇を取りやすくすることが大事」などという声があった。
48 労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)
(抄)
(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
49 女性労働者のうち、平成 31(2019)年4月1日から令和2(2020)年3月 31 日までの間に生理休暇を請求した者の割合は 0.9%、
女性労働者がいる事業所のうち生理休暇の請求者がいた事業所の割合は、3.3%となっている。なお、令和2(2020)年度時点
で生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所の割合は 29.0%で、そのうち全期間 100%支給は 65.6%となっている(厚生労働省「令
和2年度雇用均等基本調査」
)
。
50 個別インタビューでは、「グループ内に自分しか女性がいないため、ほかの人が使えない休暇を自分だけが使うということに引
け目を感じている」、
「生理休暇は自分の月経周期を申告しているようで取りづらい。名前が変われば取得しやすくなるのではと
思う」
、
「
『生理休暇』という制度があるのは良いが、月経に限らず月経前症候群(PMS)等も含めた女性特有の不調に関して
休みが取れる休暇であると良い」、「女性特有の不調に対する休暇制度があれば、安心して仕事に集中することができる」、「更年
期障害休暇があれば良い」という声もあった。月経に限らず、月経、PMS、不妊治療、更年期症状、その他の疾患の通院・検査・
簡単な手術等を含め、健康に関することであれば、男女ともに誰もが取得できる休暇であると使い勝手が良くなることも考えら
れる。なお、企業によっては、既に「生理休暇」以外の名称に変更し、更に用途を拡大した上で運用している例もみられる。
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令和5年度男女共同参画社会の形成の状況