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令和7年度 国の予算編成に対する東京都の提案要求(最重点事項) (293 ページ)

公開元URL https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/seisakukikaku/r7_kouki-4
出典情報 令和7年度 国の予算編成に対する東京都の提案要求(最重点事項)(11/14)《東京都》
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緊急時に訪問又は一時的な滞在による支援をした場合に算定できる緊急時支援
費(Ⅰ)が設定されているが、地域には緊急で利用できる居室は少なく、712 単
位では居室の確保や入退所時の関係機関の調整にかかる労力に見合わない。令和
3年度の報酬改定により新設されたピアサポート体制加算においては、地域や医
療機関等でのピアサポーター育成や長期入院患者への動機づけ支援など行政の
施策や医療機関での業務に協力している事業所もあるが、算定要件が配置基準の
みであり活動内容は評価されていない。
慢性腎不全により維持透析が必要な精神障害者について、精神症状が激しい等
の理由により一般の透析クリニック等での対応が難しい場合、精神科病院に入院
して透析を受けなければならないが、精神障害者の維持透析に対応できる医療機
関は非常に限られている。
都では令和6年度から、入院中の患者に対して、他の医療機関を受診させて透
析を実施する精神科病院を支援する取組を実施しているが、地域で医療機関等が
連携して身体合併症に係る医療提供体制を構築する取組に対して、精神障害にも
対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業では、連携会議の開催や普及啓発
に係る経費は補助対象となっているが、医療機関の取組にかかる補助は対象とな
っていないなど十分な財源措置が講じられていない。
また、精神疾患患者における身体合併症医療については、精神科身体合併症加
算により診療報酬上の評価がされているが、慢性腎不全の維持透析患者について
は対象となっていない等対象となる疾患が限定されている。
生活介護について、事業所の多くは、送迎サービスを必要とする利用者を受け
入れており、強度行動障害や医療的ケアが必要な利用者を送迎する際は、生活支
援員や看護師を同乗させることもある。また、送迎サービス提供時も生活介護事
業所は、利用者を自宅から事業所まで安全に送り届ける必要があり、利用者の送
迎時間も障害福祉サービスの提供がなされている。令和6年度の報酬改定におい
て、生活介護の基本報酬の見直しが行われ、サービス提供時間別の単価が新たに
設定されたが、サービス提供時間に送迎時間は、原則として含まれない。
就労継続支援B型の報酬単価等について、平成 30 年度報酬改定から、基本報
酬の報酬区分では、事業所の工賃向上に向けた取組が適切に評価されるよう「平
均工賃月額」に応じた報酬となり、令和3年度報酬改定から、「利用者の就労や
生産活動等」への参加をもって一律に評価する報酬体系が追加された。しかし、
就労系サービスでは、社会経済状況や物価高騰等により、生産活動が不安定な状
態となる。現在、都内における報酬区分の分布は、「1.5 万円未満」の報酬区分
の事業所が、全体の約 57%を占めるなど、障害者の生産活動の安定的な確保や安
定的な事業所運営も非常に厳しい状態である。
また、就労継続支援B型事業所は就労・訓練の場であるが、利用者の高齢や障
害が重度化した結果、本来の目的である就労・訓練が難しい障害者も引き続きサ
ービスを利用している状況にある。都実態調査でも、事業所が抱える課題として
「利用者の高齢化・重度化」「利用者の出席率・参加率向上」が主な課題として
挙げられているが、現在の報酬体系では、実績に結び付かないばかりか、手厚い
支援が必要な障害者を受け入れている事業所の支援を評価することが難しい状
況である。

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