令和4年版厚生労働白書 (100 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
オランダ発 “ヒューマニタス・ディヴェンター”が目指す“ノーマル”
オランダの首都・アムステルダムから車で
2
ナーシングホーム “ ヒューマニタス・ディ
章
第
1 時間ほどのところにあるディヴェンター市
に、他国のメディアの取材も入るユニークな
ヴェンター*1”(Humanitas Deventer)が
担い手不足の克服に向けて
ある。
響を及ぼし合うことが重要であるとの考えで
運営されている。
学生の存在自体の効用
学生の存在自体も、入居者によい刺激を与
えているようだ。学生が自分の部屋にガール
学生が無料で入居
フレンド(ボーイフレンド)を呼べば、入居
者の間でたちまちゴシップとして話が伝わ
ヒューマニタス・ディヴェンターの特徴
る。高齢者にとって、今日の体の痛みの話題
は、学生が月 30 時間、入居者(多くは高齢
に代わる話題ができることは、普通の世界に
者 ) と と も に “good neighbour( よ き 隣
少し近づけることである。
人)
” として過ごせば、無料で住むことができ
ることだ。現在は 6 人の学生が住んでいる。
学生にとっての効用
学生にとって、入居者とはゆっくり話す、
事の始まり
話を聞くといったことだけではない。高齢の
当初、ヒューマニタス・ディヴェンターの
入居者が亡くなっていく中で、死がいかに一
CEO、ヘィア・サィプクス(Gea Sijpkes)
生の一部であるかを学ぶ機会となっており、
さんは、空室を地元の学生インターンで埋め
家賃が無料である以上のものを受け取ってい
ようとしたが、そのための手続や会議が多す
るようだ。
ぎた。そこで、サィプクスさんは大学のキャ
ンパスに、無料で入居する学生を募集する掲
示を出した 。
*2
入居者と学生の過ごし方
ヒューマニタス・ディヴェンターでは、学
生は他のアパートメントコミュニティと同じ
広がる取組み
この他にもヒューマニタス・ディヴェン
ターは、高齢者と地元の人々をつなぐ活発な
芸術・パフォーマンスの催し、高齢者と交流
する障害者のための隣接した住居の設置など
の成果を生んでいる。
ように、ただ隣人になる。高齢者が高齢であ
世代を超えて人とのつながりを味わいなが
るという理由だけで、世間から隔絶された状
ら、地域で生きる。オランダ発の興味深い試
況に置かれることは普通(normal)ではな
みは、「普通の世界、当たり前の幸福とは何
く、他の世代と一緒に過ごし、相互によい影
か」を問いかけている。
(写真)ヒューマニタス・ディヴェンター公式ホームページ “Foto Impressives van Humanitas deventer” より
*1
*2
86
令和 4 年版
https://www.humanitasdeventer.nl
AARP International May 31, 2019 THE HUMAN TOUCH AT HUMANITAS(https://www.aarpinternational.org/
the-journal/past-editions/the-human-touch-at-humanitas)
厚生労働白書