令和4年版厚生労働白書 (108 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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介護現場のニーズに応えるテクノロジーの製品開発
(フューチャー・ケア・ラボ・イン・ジャパン)
2020(令和 2)年からのコロナ禍の下で
第
ン(Future Care Lab in Japan。以下「ラ
もオンライン会議を最大限に活用し、2022
2
ボ」という。
)は、SOMPO グループが運営
(令和 4)年 1 月までの 3 年間で調査・検証
している研究所で、2019(平成 31)年 2 月
したテクノロジーは 350 を超える。離床支
に設立された。「人間」と「テクノロジー 」
援ロボット、介護用シャワー入浴装置、排泄
の共生による新しい介護サービスを創造し、
ケアシステム、介護職員のスケジュールや利
生活の質を維持・向上した上で生産性を有す
用者の服薬情報を可視化したシステム等、多
る持続可能な介護事業モデルを構築し、高齢
様で実効性の高い製品が介護現場に導入され
者が安心して暮らせる社会の実現を目指して
てきた。例えば、利用者の睡眠状況を把握す
いる。
るセンサーの導入によって、夜間の呼吸、心
章
フューチャー・ケア・ラボ・イン・ジャパ
*1
担い手不足の克服に向けて
オーダーメイドの開発企業との協働
ラボにおいて、SOMPO ケアが運営する
介護事業所の業務分析を行ったところ、介護
拍等の正確なデータが得られたことで必要な
見守り、安否確認等を適切に行えるように
なった。利用者の生活の質の維持・向上と、
職員の負担の軽減を叶えている。
サービス全体の約 6~7 割を占めるのが食
このような介護テクノロジーの導入・活用
事・入浴及び排泄の介助であった。この「3
は、多くの利用者や家族から満足の声を得る
大介助」に着目し、それぞれについて、利用
とともに、介護現場及び開発企業の双方から
者の身体に直接触れる介護職員が対応するこ
も高い評価を受けている。
とが適当な「直接業務」、テクノロジーの得
意分野であり置き換え可能な、正確な記録等
の「周辺業務」に区分した(図を参照)。
ラボでは、主にこの周辺業務から、テクノ
さらに多くの介護現場でテクノロジーの
普及を目指す
周辺業務は可能な限りテクノロジーに任せ
ロジー及びノウハウ(シーズ)を有する開発
ながら、介護職員は直接業務における専門性
企業と協働(コラボレーション)していく。
を高めていく。ラボでは、こうした適切な役
協働は様々な形で行われ、基本企画(介護現
割分担によって介護の質を向上させるととも
場のニーズと企業のシーズのマッチング、コ
に、介護職員の処遇を改善し、負担を軽減
ンセプトの設計)からの協働もあれば、開発
し、働きやすい環境づくりを実現できると考
段階での安全性や費用対効果の実証や現場検
えている。
証(介護施設での実証)を協働することもあ
ラボの片岡眞一郎所長は、今後、さらに多
り、販売等の展開の段階に絞ったものもあ
くの介護現場でテクノロジーの普及を積極的
る。また、販売後も現場で効果が出て根付い
に推進しながら、「人間とテクノロジーそれ
ていくためのフォローアップを行うこともあ
ぞれの良さを活かし、関係者と手を携え、
る。開発企業と対話を重ね、開発等に必要な
オープンな開発プラットフォームを通じて、
求めに応じた対応をワンストップで、客観的
より多くの方々に受け入れられるテクノロ
に分析して丁寧かつ迅速なフィードバックを
ジーを多くの介護事業者に展開できるように
行うことのできる仕組みがラボの強みであ
していきたい」と熱く語る。
る。
*1
94
令和 4 年版
人間の活動を補完・代替するロボット、センサー、ICT(情報通信技術)等を含む。
厚生労働白書