令和4年版厚生労働白書 (164 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
医療法人・社会福祉法人の多事業経営・法人間連携
2017(平成 29)年 4 月に、地域医療構想を達成するための一つの選択肢として、病院
第
章
2
や診療所、介護事業等に係る施設又は事業所などを開設する法人や、大学等の医療者養成
機関、地方独立行政法人や自治体等を参加法人とする地域医療連携推進法人制度が始まっ
た。本制度は、参加法人が各々独立性を保ちながら、医薬品等の共同購入や参加法人間の
担い手不足の克服に向けて
病床融通のほか、医療従事者等の人事交流や共同研修等を行うことができることなどが利
点として挙げられている。地域包括ケアシステムの実現や医療・介護従事者等の人材確保
の観点からも有効な選択肢の一つである。
社会福祉法人については、福祉サービス事業者間の連携方策の新たな選択肢として、
2022(令和 4)年 4 月に、社会福祉連携推進法人制度が始まった。社会福祉連携推進法
人の設立により、地域福祉の充実、災害対応力の強化、福祉サービス事業に係る経営の効
率化、人材の確保・育成等の推進といった、創意工夫による多様な取組みが可能であり、
同じ目的意識を持つ法人が個々の自主性を保ちながら連携し、規模の大きさを活かした法
人運営が期待される。
コラム
動きだした地域医療連携推進法人
地域医療連携推進法人制度は、医療機関相
法人間での病床融通が可能なことが挙げられ
互間の機能分担と業務の連携を推進すること
る。病床過剰地域においても、病床数の合計
を主たる目的とする一般社団法人として、医
が増加しない範囲で、地域医療構想達成のた
療法に定められた基準を満たすものを都道府
めに必要な病床融通を参加法人間で行うこと
県知事が認定するものである。複数の医療機
ができる。
関等が法人に参画することにより、競争より
日本海ヘルスケアネットでは、この制度を
も協調を進め、地域において質が高く効率的
活用し、日本海総合病院の急性期病床を 4 床
な医療提供体制を確保することを目指してい
減らし、本間病院の回復期病床を 4 床増床し
る。ここでは 2 つの法人の特色をみていくこ
ている。本間病院での急性期後の患者の受入
ととする。
体制不足に対応した形だ。
事例 1 日本海ヘルスケアネット
地域の幅広いアクターの参加
多様な取組み
日本海ヘルスケアネットは、山形県の北庄
が退院後受入先として協力し、連携強化に取
内地域の 9 法人(3 病院、医師会・歯科医師
り組んでいる。その結果、日本海総合病院で
会・薬剤師会の三師会、2 社会福祉法人、1
は急性期医療に特化でき、各参加法人は入院
医療法人)が参加して 2018(平成 30)年 4
患者が確保できるなど経営面でも効果が見ら
月に発足した(令和 4 年 4 月現在 11 法人)。
れる。また、医療従事者の人事交流や研修会
地域の三師会が揃って参加し、認知症対応で
への参加などにより、医療の質向上や職員の
力を発揮する精神科専門病院が参加するのも
スキルアップにもつながっている。最近で
全国初の形態である。
は、参加法人が、地域フォーミュラリと呼ば
病床融通を実施
地域医療連携推進法人の特色として、参加
150
日本海ヘルスケアネットでは、各参加法人
令和 4 年版
厚生労働白書
れる医薬品の使用指針を活用し、医薬品の適
正使用の推進による薬剤費の削減や薬剤在庫
管理の効率化などにも取り組んでいる。