令和4年版厚生労働白書 (399 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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現下の政策課題への対応
(3)ダニ媒介感染症
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介脳炎、日本紅斑熱などのダニが媒介す
る感染症については、日本国内に広く生息するマダニがその病原体を媒介している。野外
作業や農作業、レジャー等で、これらのダニの生息場所に立ち入ると、ダニに咬まれるこ
とがある。ダニに咬まれない予防措置を講じるとともに、仮に症状が出た場合には、早期
に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要であることから、厚生労働省では、
従前より予防啓発資材を活用した注意喚起を行っている。
SFTS については、2013(平成 25)年 1 月に国内で初めて感染者が確認されて以降、
西日本を中心に、2021(令和 3)年 7 月 28 日現在、26 都府県で 641 人の感染者(うち死
亡者 80 人)が報告されている。マダニの活動が活発な春から秋にかけて感染者が多く発
生している。感染者の多くは、マダニに咬まれて感染すると考えられるが、稀に、発症し
たネコやイヌの体液などを介してヒトに感染することから、厚生労働省では、獣医療関係
者に、感染予防措置を講じるよう注意喚起を行っている。
ダニ媒介脳炎については、北海道において 1993(平成 5)年に 1 例発生して以降、23
年ぶりに 2016(平成 28)年に 1 例、2017(平成 29)年に 2 例、2018(平成 30)年に 1
なっており、厚生労働省では、注意喚起や情報収集を行うとともに、調査研究を推進して
いる。
9
HTLV - 1 対策について
ヒト T 細胞白血病ウイルス- 1 型(Human T-cell Leukemia Virus type1:HTLV -
1)の感染者は、全国に約 70 万~80 万人いるとの推定が報告されており、そのうち一部
関連脊髄症(HTLV-1 Associated Myelopathy:HAM)といった重篤な疾病を発症す
第
の患者については、成人 T 細胞白血病(Adult T-cell Leukemia:ATL)や HTLV - 1
健康で安全な生活の確保
例発生が報告されている。ダニ媒介脳炎ウイルスは北海道に分布していることが明らかに
8
章
る。
2010(平成 22)年 12 月に取りまとめられた「HTLV - 1 総合対策」において、国は、
地方公共団体、医療機関、患者団体などと密接な連携を図り、総合対策を強力に推進する
こととされている。これを踏まえ、厚生労働省においてはこれまでに、HTLV - 1 対策に
携わる患者団体、学識経験者その他の関係者から意見を求めるため「HTLV - 1 対策推進
協議会」を 14 回開催している。
具体的な対策として HTLV - 1 抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加し、
2011(平成 23)年度から、HTLV - 1 母子感染対策事業として、都道府県において
「HTLV - 1 母子感染対策協議会」を開催するとともに、医師、助産師、市町村職員など
に対しての研修や妊婦などへの普及啓発を実施している。また、都道府県、政令市、特別
区に対して、保健所における HTLV - 1 検査や相談への補助事業を行っている。
加えて、各都道府県、政令市、特別区に相談窓口を設置し、教育資材の作成、医療関係
者への研修などを通して相談支援体制の充実を図るとともに、厚生労働省のホームページ
に専用ページを作成するなど、普及啓発・情報提供を行っている*9。
*9
HTLV - 1(ヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型)に関する情報
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou29/
令和 4 年版
厚生労働白書
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